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スタートラインY その16
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「帰ろか。」
大きく伸びをしながら公園の入り口へゆっくりと歩きだす川本の後ろを俺も自然と追う。
大きな道路沿いの、細く長い歩道を一列になってだらだらと歩みを進めた。
「・・・川本。」
「なんやねん。」
前を歩く川本はいつも通り振り向かない。
「津田は?」
「津田がなんやねん。」
「好きちゃうの?」
「なんで」
「・・・。島田が言うてたから。」
「なんでそんなん気になんねん。」
「なんでて・・・。」
「アホ。」
信号待ちで横並びになったのも束の間、青に切り替わった途端やはり川本が先に進む。
「なぁ。」
「今度はなんや。」
「島田にも、ちゅーしたん?」
「はぁ?・・・きしょい事言うなや。」
「ほななんで俺にちゅーしたん。」
一瞬振り返って睨まれた。
言ううちに広い歩道へ切り替わり、歩みを止めない川本の半歩後ろに移動した。
「なんで知りたいねん。」
「なんでなんでって、・・・さっきからなんやねん・・・。」
横顔を盗み見ようとして視線が合い、川本の歩調が止まった。
「あほんだら。どうして・お前が・そんな事・気にしとんねん、って。」
「え、」
「なんで俺の好きな相手気になんねん。
なんで目で追いかけてくんねん。
なんで俺を避けんねん。
なんでしんどそうに笑ろとんねん。
なんで泣くほど辛いねん。」
そんなん、決まってるやん・・・。
黙っていたら
「にぶちん。」
と太ももに軽く蹴りを入れられた。
俺まだ信じられへんねんけど・・・さっきの出来事も、嘘やったんちゃうか、って。
ドッキリでしたーって、言われるちゃうかって。
でも少しだけ期待する気持ちもあんねん・・・。
だから勇気出してみるな?
信じられへんけど、信じたいし、確信したいねん。
「かわもと。」
「今度はなんやねん。」
歩き始めた川本が立ち止まる。
しんとした住宅街に俺の家はもう後五分。
「俺なぁ。・・・川本の事、好きやねん。」
「知ってるわ!!!」
END
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