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スタートラインK その9
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タバコを咥えて火を点け、男子用のトイレの入り口に近付くと水の流れる音が聞こえる。
扉を開けると梶原が洗面所のカウンターに手を付いてぼんやりとも垂れていた。
「おい。」
声をかけるとハッとしたように顔を上げ表情を取り繕う梶原。
「川本。ビックリした・・・どないしたん。」
「お前飲みすぎちゃう?ハイペースすぎるやろ。潰れるで。」
「飲みたい気分やねん、あたし。」
「合コンの肉食女子かお前。」
そんな顔色でコントしたかておもんないんじゃ。
「やだぁ。お持ち帰りとか狙ってんちゃうぅ?そんな軽い女ちゃうでっ。」
「・・・。」
やめて欲しい。
無理して笑っているみたいな、そんな梶原は。
俺の前でまで、何を無理する事があんねん。
・・・なぁ。
「何やノリ悪いな?気分悪いんか?」
あの日の梶原の態度から今日まで何ひとつ変わらない。よそよそしくて、嘘くさい笑顔に何かを誤魔化す素振り。
「川本、機嫌悪いんか。」
頭痛がするほど腹が立つ。
「・・・お前やろッ」
苦々しく、それだけが口をついて出た。
「何言うてんねん!元気やんけっ。元気ないのお前やろ!ほらはよ部屋戻んで!」
白々しいほど空元気な梶原が俺の肩を押して促そうとする素振りに呆れて、それでも考えはまとまらずに梶原を振り切って一人で戻ってしまった。
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