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初恋 その1
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川本Side
高校一年の・・・
あれは何月やったんか、もう忘れてもうた。
夏休みが終わってそれほど間もない頃。
俺は部活の帰りに、当時付き合っていた彼女と下校途中でケンカ別れののち、苛立ちを隠す事もせず学校近くの川沿いを一人で歩いていた。
長く繋がった河川敷の先を見て無意味に途方に暮れ、この距離をまだ行かねばならないのかと思うと、足を捻ったお陰で早退した部活で使った体力と気力の残量が一気に削がれる気分に鬱々とし、西日の眩しさが余計に苛立ちを助長する。
はぁぁぁぁあぁぁあぁあぁ、、、
ホンマ鬱陶しいわー・・・。
同級生から勝手に拝借してきたチャリを土手にぺいっと投げ倒して自分もその横に転がる。
『清史、ホンマにうちの事好き?』
放課後の彼女の言葉が蘇る。
好きちゃうかったらなんで付き合ってんねん。
好き言うたらそれがホンマの好きやなんて誰が分かる?
人の言葉の真意なんて誰にも分かる訳がない。
好きやけど、鬱陶しい。
好きやけど、めんどくさい。
鬱陶しい。めんどくさい。
だるいだるいだるいだるい・・・。
綜合したらホンマにむっちゃめんどくさい。
・・・女はホンマよう分からん!と匙を投げたくなっても仕方ない。
もう、潮時やなー・・・。
大体いつもこうなるのは俺がおかしいのか、女が全員合わせて面倒な生き物なのか。
付き合えばかわいいとも思うし、一緒にいたいと言われれば都合がつく限りそうしてやる。
さほど興味のないイベントごとも、お返しのプレゼントも。共感してほしい愚痴もかわいらしいワガママも。望んだようにしているつもりなのに。
『なぁ。あたしのどこが好きなん?』
『あたしの事どう思てる?』
出た!と思ってしまうほどこの質問には難儀してしまう。手を変え品を変え、同じような質問で俺を何度も試す。
何回聞くねん!と切れたいのを我慢するうちに鬱陶しいと思うようになり、付き合いもおざなりに。そうしているうちに振ったり振られたり。
あんたはホンマに堪え性がない!と昔から言われてきた、おかんの言葉が身に染みる。
好きってなんやねん。
彼女たちの訴えが正しければ、俺は誰も好きになった事がないのだろう。
ちゃんと好きと思て付き合ぉてるつもりやっちゅーねん・・・。
お前らかて何を分かってんねん!と反論するには原告側が多すぎる。
そう考えたら、やっぱり彼女たちを好きではないのかもしれない。
・・・・・・ほんならやっぱり、“好き”ってなんやねん。
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