アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
初恋 その2
-
あーあ。
今知ってる感情以外の好きがある事さえ理解出来ないでいる俺は、まだまだ青臭く、世の中を知ったように虚勢を張っているだけのクソガキなのかもしれない。
高い空で飛んでいる鳥を目で追い、サギが目の前の川の真ん中で止まっているのをぼんやりと見つめながらやり過ごしていた俺の視界の右から左へ、とぼとぼと歩いていく同じ学校の制服が見えた。
どこか見覚えがあったそいつに、思わず体を少し起こして目を凝らす。
あいつ、島田と仲いい奴やったよな?
どんな奴やったっけ?
学校で見かける同じ学年のそいつは、俺よりも身長が高くいい体格に恵まれている。それだけで俺ならもっときっと色んな事が今よりずっと楽しめるような気さえするが。いつも冴えない表情で、人生生きてて楽しないんか?と問い詰めたくなるような、つまらなそうにしている印象しかない。
はずだった。
・・・あれ?
夕日が水面に反射してキラキラ輝く。
普段の黒髪も光が反射すると、元の色素が薄いのか茶色く透き通ったように美しく、輝く水面に溶け込むよう。相変わらずの無表情なのに、肌の白さが光のせいでより一層引き立ち、淋しいような悲しいような儚げで、放っておけない、そんな気持ちにさせられる。
同じ高校に通うその男を。
俺と同じ同性のその男を。
俺は不覚にもキレイだと思ってしまった。
なんやねん・・・。
あんなヤツやったか?
橙と紺が混じるような空に溶け込むそいつ。
言いようもない、心を奪われるような、欲を駆り立てられるような、意識を吸い寄せられる切り取ったかのような一瞬。
俺はそいつが視界からボヤけるまで、目が離せないでいた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
49 / 116