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初恋 その3
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学校近隣のアーケード商店街。
学生が通学として使ってはいけないとされてはいるが、それを守っている奴は一人もいない。
そのアーケードは#の形になっており、縦の二本が大通り。
その大通りから小路を通った一角、部活終わりによく行くお好み焼き屋“ふくや”で、今日も島田と酒井と一緒に部活で消耗したエネルギーを補給する。
ふくやは狭いL字のカウンターと、お世辞にもテーブル席と言えないような腐った鉄板付きの机が三つのみで、想像の通り結構ボロくて汚い。
店内は、いつの時代やねんというような真っ赤なタイルだったであろう壁が、油で茶色く変色し、一応知らない世代ではあるがノスタルジーを感じさせるには十分な年季を帯びていた。
そして極めつけに、まずくもないが美味くもないここのお好み焼き。
それでもここへ通うのには学生なりの訳がある。
学生に嬉しい昔ながらの価格と顧客の少なさ、背中の曲がったおばちゃんの愛想がいい事。
その中でも最もたる理由は、先輩方が来ないという事だ。
一年の俺らには打って付けや。
入り口にから入ってすぐ横、レジの前。ガラス越しのテーブル席が俺の特等席。
外を歩くかわいい女子高生、昼間から飲んだくれの住所不定おっさん、アホな方向にイキった中学生、ヒョウ柄のスパッツを履いたおばはんを眺めては盛り上がった。
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