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雨と群青 その3
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川本side
「あぁーーーーーーーー・・・・・・。」
体がだるくてたまらない。
開け放たれた教室の窓から春の匂いを感じ春眠さんが暁さんとうんたらだし、おまけに霞んだモヤで焦点のやり場のなさに鬱陶しさが苛立ちを手助けしている。
小高い丘に見える桜の木々が遠く風に揺れていた。
三年になり、梶原と島田はまた同じクラスへ。そこへ酒井が加入。
新学期早々、授業中に酒井と騒ぎすぎて早速担任に目をつけられた俺たちは窓側の前列の一番二番で座らされていた。
「あぁぁぁーーーーーー・・・。」
あの日初めて指を入れてイった梶原はそれ以来、その行為を拒むようになった。
『手でしたろか?』や『く、口でしよか?』と逃げ道を作って本番はさせてくれない。
手も口も気持ちええから好きやけど。でも。
『・・・このままやとあかん?』
独り言のように呟いた梶原の声が耳に残って離れない。
あかん事ない。けど。せやけど。
「あぁぁぁぁああぁぁぁあぁ・・・・・・・・。」
「なんやねん、鬱陶しいな。」
休み時間の騒がしい教室の端で机に突っ伏して外を見ていた俺の椅子の裏を、後ろの酒井が軽く蹴飛ばした。
「・・・だるいねん。」
「なんかあったん?夜更かしか?」
面白そうに俺の前へと回ってきた酒井が机に腕をつくので、仕方なく体を起こして伸びをする。
「別にぃ。」
いくら図々しい俺とて、梶原とのセックス問題について友達に相談出来るほどの度胸は持ち合わせてはいない。
「今度二年の子らと遊ぶんやんか。清史くんもどう?久しぶりに。」
「お前まだそんな事してんの?俺ええわ。」
「付き合い悪なったな。一年ときまではよぉ一緒に遊んでたやん。俺は彼女でも出来たんかと疑っててんけど?」
節操なしの遊び人。成績も俺よりはマシ程度の酒井のくせに妙に勘が働くので侮れない。FWの島田とは大違いだ。
「へぇ。」
「へぇて、何それ。誤魔化してんの?別にええけど。」
「あれ?お前この前彼女出来てへんかった?もう別れたん?」
「別れたー。」
「早いな。いつも通り。」
「やって、聞いてや。ゆかちゃん、奥ゆかしいというか古風というか。ま、そういうところがええところではあんねんけどな、」
自分の話題から話を逸らした俺の真意を知ってか知らずか逸らされてくれる酒井と、チョイミスで興味がない話に欠伸がひとつ。
それから教室を見渡して梶原を探した。
隣のクラスの前川とかいう梶原と同じ部活の男がまた遊びに来ている。
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