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雨と群青 その13
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先ほど歩いてきた校庭の前を走りながら振り返って確認しようとした瞬間に衝撃が走った。
「「いだっっ」」
「ご、ごめんなっ。」
「梶原やん。さっき帰ってへんかった?忘れもんか?」
同じ部活の前川だ。
衝突したのがこいつで助かった。ゴリラみたいに体がでかいから当たってもびくともしない。
「ちょぉ急いでるしっ。」
「待てって。」
走ろうとした腕を掴まれ引き戻される。
「一緒に帰ろうや。なんか食うてく?」
がっちりと掴んで離さない手首に強い意志を感じさせるが俺は今それどころではない。
「いや俺今ちょっと急いでんねん!」
「えー?ええやーん。用事なら付き合うで?」
トロいしゃべり方とは逆に、離さないと決めたように握られる手首の痛さに理不尽な苛立ちが募る。
「かじわらーーー!!!」
その声を聴いて慌てて前川の手を振り切り、校門を通り過ぎてまた走った。
ホンマに。
なんで俺は逃げてんねん。別に逃げんでもええのに。
川本追ってきてるけどどうする?止まるか?
いやや。止まりたない。
なんで止まりたないねん。俺は。
知らん。
・・・いや、分かってる。
避けられても、女の子と仲良くしていても、俺ではない相手を選んだとしても、それでも。
追いかけてきてくれる今の一瞬はきっと俺しか見てないやろ?
なんて、この感情はタチが悪すぎる。
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