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雨と群青 その14
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川本side
練習試合の予定が相手校の都合で中止になり、屋内での練習も予定に入れてなかったサッカー部は筋トレの後、いつもより早めに切り上げる事になった。
「清史!」
梶原に遅くなるかもと言った手前、ここで目撃されては面倒だと思い他の部員よりも早く学校を後にしたが、その後ろを詩織が追いかけてきた。
「何?」
「忘れてる?今度はよ終わったら買出し付き合ってくれる言うてたやん。あたしに借りあるでしょ!」
「せやった?」
俺が理不尽に断ったあの話をしているのは間違いないが、いつ借りを作ったのかと疑問にも思う。
「はぁぁ?ショップも行こな!」
めんどくさ!と言いかけたがどうせ家に帰ってもやる事もヤル事もない。
「しゃーないな。」
借りを返すという名目のもと、息抜きのつもりでスポーツショップを見て回るのも悪くないと思い直して向かった。
「清史!見て!!募集してる!!」
社会人クラブチームの募集欄を見て楽しそうにはしゃぐ詩織に袖を引っ張られる。
「ええやん。やりぃな。」
テンションの高い詩織に釣られて笑顔にはなるものの解決させなければならない問題にテンションは下降気味だ。
やっぱ待っとけばよかったか?
忙しさに助けられてここ最近は気まずい雰囲気を味わわずに済ませてはいるが、いつまでもこんな風にはいられない。
どうすんねん、どうすんねん!と俯瞰の俺が常に囁いている。
商店街の中にあるドラッグストアで買い物の後、リストを広げて一通りチェックした詩織はそれをポケットに詰め、何かに気付いて指差した。
「清史、ソフトクリーム奢って!」
「え、なんで?」
「この前私がジュース奢ったし!ええやん。」
「俺のが支払い高なってるやんけ。」
俺はどっちかいうとたこ焼きが食いたいわ、と思いつつポケットの財布の厚みに手を当てて、ふと視線を移すと今まさに踵を返す梶原が見えた。
なんで声かけへんねん。
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