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雨と群青 その20
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「自惚れてはるんすか?」
照れ隠しでそう言うと
「自惚れちゃうやろ。事実やん。それともお前俺の事嫌いなん。」
答えを分かっているくせにわざと仕向ける川本はいつものように意地悪そうに笑っていた。
些細な事を気にして不安になり、くだらない事にうじうじ悩んで散々迷う。
川本が嫌いそうな相手を試す女みたいだと言われてまでも、それでも。
そうまで思い詰めるほどにはめっちゃ、
「好き。」
いつも隣にいたのに。
それが見えずに川本を疑って、全力の臆病さで自分の気持ちさえ蔑ろにした。
ずっとそばにあっただろう川本の気持ちに胡坐をかいて、避けていたのは俺の方だ。
もう川本の気まぐれでもなんでも、俺が好きならほんでええかと、そう思えた。
「好き。」
「あ。二回言うた。」
「大事な事なので。」
「やかましわっ。」
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