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雨と群青 その21
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川本side
「止まへんなぁ・・・」
どんどん強くなる雨に冷えてゆく体を小さくさせながら梶原が呟いた。
雨で濡れた服が体温を奪い、寒くて震えそうなその唇は薄赤く色付いて見え、白い肌は周囲の暗さと相まってしょぼくれた街灯の明かりに照らされては一層白く透き通り、なんだか変な気分にさせられる。
濡れた髪の先から雫が零れて頬を伝うのが泣いているみたいに見えて綺麗で、見つめていればなんやと言いたげに柔らかく微笑む。
気付けば引き寄せて唇を重ねていた。
戸惑いながら何もせずに受け入れる梶原に理性が少しずつ剥がれていく。
冷たそうに思っていた久しぶりの梶原の唇は意外にも俺よりも熱くて、それが余計に夢中にさせた。
唇を離して思う。
・・・やっぱり、もっと触れたなんねん。
もっと。
前川なんかに捕まってる場合ちゃうで、梶原。
俺を拒絶しておいて、前川なんかに気を取られている事が許せない。
梶原の意識のひとつでも、俺に向いてへんのが。
あんなもんが目障りでイラつくほど、俺は・・・。
「どうする?もう真っ暗やけど。」
空を見上げる梶原。
「走る?どうせびちゃびちゃやし・・・歩いても一緒か。」
よそ見してる暇ないで。
「やめた。」
「はっ?」
「もうやめた!」
「な、何?」
俺にしては最長の二週間分の悩み。
もうやめるわ。
もう、ええ。
お前の事もう待ってられへん。
ダメならダメで。
ごり押しでも無理強いでもなんでも、俺は今より距離を縮めたい。
近付きたい。
今めっちゃ、お前抱きたいねん。
「・・・なぁ、」
「ん?」
「俺んち来る?」
梶原の肩が小さく揺れて、俺の言葉の意味を理解したのだと分かる。
あの時のいたたまれない顔が蘇って、思わず視線を下げた。
行かんて言いよるかな。と珍しく不安がよぎったが、俺らしくないと振り払いもう一度梶原を見つめた。
お前の全部、俺にくれ。
梶原は俯いて、また視線を合わせて、遠くを見て、また視線を合わせて。
迷てんの?梶原。
うんって、言え。
そっと梶原の指に自分の指を絡ませ、強く想う。
「・・・行こか。」
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