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雨と群青 その25
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寒がりの川本の事を考慮してなるべく急いで洗い終えると急ぎ気味で着替えてリビングにいた川本と交代する。
おばちゃんが作って置いていったのだろうおにぎりがふたつと、多分川本が出してくれたお茶とインスタントの味噌汁。
川本はすでに食べたのか、ゴミ箱には味噌汁の容器が潰れて覗いている。
出た時に消えていた制服は俺がシャワーを浴びている間に几帳面にも川本のものと並んで干されていた。
なんでそんなとこは変にマメやねん。
降る雨を窓から眺め、相変わらず時計の音が聞こえる静かなリビングで、食事の音が大きく聞こえるほどの静寂。
人の家のリビングで寛ぐ事も出来ず勝手に川本の部屋へと移動し、いつもの癖でベッドへ寝転んでしまって、治まりかけていた緊張が再燃してそわそわそわそわ落ち着かない。
床へ座り直しテレビを点けるが、どの番組を見てもひとつも内容が入ってこない。
仕方なくテレビを消し、またベッドへ戻って布団に顔を埋めた。
・・・川本の匂い。
安心する。
安心するのに動悸が早くなる。
緊張と緩和が同時に発生するやなんて不思議やわ、と意識しすぎる思考を散らそうと試みては動悸で引き戻される。
早く来てほしい。俺の決心が鈍らぬうちに。
そう願ったのが悟られたのかと思うほど早く廊下を歩く川本の足音が聞こえてすぐに扉が開き、腰にタオルを巻きつけただけの川本が近付く。
「なんや、全裸ちゃうん。」
「アホ。」
「ベッドで準備万端やから、脱いでてもええんちゃう?」
「、寒いし。」
もう圧し掛かられて顔はすぐ間近。
濡れた髪から一粒落ちて俺の頬を濡らす。
「脱がすん大変やん。」
低く笑って唇を噛まれ、心臓が跳ね上がった。
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