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⑥
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湊は僕のことどう思っているんだろうか。
僕は湊にとってただの幼なじみでしかない?
湊の特別になれない?
なんて聞けない。
湊の傍に居られなくなるのは嫌だから、ずっとこのまま湊の傍に居るためにも告白はしない。
そう、これでいいんだと、伊織は自分に言い聞かせた。
「宿題を見せるのは今回だけだからな。甘やかすのは伊織の為にならないからな」
『ええ!?そんなぁ~』
しゅんと肩を落とした伊織の頭上に、息を微かに洩らした程度の僅かな笑いが落ちる。
伊織は目敏く気づいて声を荒げた。
『ああ!またそうやって僕をからかう!』
「別にからかってなんかねぇだろ。伊織の気のせいだよ」
湊がクスクスと笑みを溢す。
それが勘に障ったのか、伊織は『もう湊なんか知らない!』と言い捨て踵を返した。
湊を置き去りに学校の正門を潜り、校舎の中に足早に入っていく。
その時、僕は知るよしもなかった。
今日、僕にとって大変な1日になるとは……。
そして、守り続けていた湊との幼なじみの関係が少しずつ変化していくことに……。
止まっていた歯車が、今動き始めた…───。
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