アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
残された傷痕①
-
教室に入ると否や、湊はあっという間に女子たちに取り囲まれた。
「湊くん、おはよう」
「あぁ、おはよう」
湊がにっこりと微笑めば、女子たちから桃色のどよめきが上がる。
相変わらず凄い光景だと思うが、女子たちに取り囲まれている光景を見ていると苛立ちを抑えられない。
湊の奴、愛想振り撒きやがって!
女子たちも気安く湊に触るなぁ!
強い眼差しを向けていると、
「おはよう、伊織。凄い顔してるぞ」
「そうそう。随分と怖い顔して、可愛い顔が台無しだぜ」
後ろから声を掛けられ、両側からポンと肩を叩かれた。
弾かれたように振り返れば、入学してから直ぐに仲良くなった友人の成瀬竜也と杉原透が失笑を浮かべている。
成瀬竜也は、さらさらの黒髪に端整なすっきりとした目鼻立ちは知性的で、学年トップの成績を保ち、生徒会で副会長を務めているインテリ系イケメン。
そして、杉原透は学校内の強豪バスケ部に所属しており、一年にしてレギュラーを勝ち取りエースとして活躍している、さわやか系イケメンだ。
二人とも湊と同じくらい女子たちに人気がある。
『ぜーんぶ、湊のせいだから!』
「また喧嘩か?」
『違うから!喧嘩じゃないから!湊がカッコいいのが全て悪いんだ!』
「伊織、言ってることが支離滅裂だぞ」
「まぁ、落ち着けって」
透たちによしよしと慰められつつ、伊織は自分の席につく。
自分たちの席にカバンを置いた透と竜也が、伊織の席に集まってくる。
そして、伊織の両隣の空いていた席の椅子を引くと、腰を下ろした。
伊織といつも一緒に登校してくるはずの湊の姿がないことに竜也が気づく。
「そう言えば湊の姿が見えないが、一緒じゃなかったのか?」
『ああ、女子にモテモテの湊だったら』
竜也の問いに伊織は、未だ女子たちに取り囲まれている湊へ顎で示す。
「相変わらず人気だな。女子たちに湊を取られたから、機嫌が悪いのか。うちの姫は」
『別に機嫌なんか悪くないし……それに僕、姫じゃいないし……前から思ってたけど、姫ってなに!?』
「伊織、自分の可愛さに自覚ねぇの?」
『僕、可愛さなんて求めてないから!僕男だよ?男だったら女子にモテたいし!いいよなぁ、透たちは女子にモテて……』
「別にモテねぇよ、なっ竜也」
「そうそう。女子にモテてるのは湊だけだろ」
謙遜する二人に、嫉妬と羨望が涌き出てくる。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
7 / 15