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春色ブラックコーヒー 4
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私立明鏡学園高等学校。
そこは、厳しい試験により選びぬかれた男子のみが通うことのできる名門校だ。あらゆる分野でトップに君臨する人材育成を目指し、附属の幼稚園から大学まで続いている。
学園での勉学に集中するため、中学生、高校生は全員入寮が強制され、余程の緊急事態や長期休暇以外は帰省が許されない。
しかし、戒厳な規律で縛られるかわりに、行事や部活動には大きく力を入れている。また、私立だけあって校舎は広く綺麗で、設備も充実している。
…………というようなことを、前に聞いたような気がする。
現在、退屈な入学式を終え、寮へ向かっているところだ。
同じ方向へ向かっているはずが、他の新入生たちは何故か、俺から一定の距離を空けて広い白塗りの廊下を歩いていた。
そのわりには、チラチラと遠まきに視線を感じる。解せないのは、何故か怯えたように見られていることだ。特に怯えられるようなことをした覚えはないのだが。
「なぁなぁ!」
「………」
「なあってば!そこの君!」
「…………なに」
後ろから何度も肩を叩かれて、俺は嫌々、嫌々振り返った。
大きめの黒目をくるりと動かして、パリッと眩しい笑顔で俺の手を握る。
日焼けした逞しい腕に、清涼感のある短髪。スポーツが似合いそうだ。そんでもって、絶対俺とは合わなさそう。
「あんたってさ、幸村(ゆきむら)紫樹(しき)だろ? 入学早々問題を起こしたっていう! いやー、本当に凄い美人だな。 男にしておくのが勿体無いくらいっていうか、俺と同じ男とは思えねぇな!」
黒目がちの大きな瞳をきらきらさせながら、面倒くさげな顔をした俺に怯むことなく声を上げた。
妙に静まり返った廊下に、声が反響する。新入生たちがギョッとしたように振り返った。
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