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春色ブラックコーヒー 5
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「勇気あるな、あいつ……」
「何も考えてねーだけだろ」
「あの鬼柳先輩に喧嘩を売った幸村紫樹に喧嘩売りにいくなんてな」
「ちげーよ、あれは本気で言ってんだよ。何せユウは馬鹿だから」
「確かに! 馬鹿だもんな!」
ギャハハハハ!!場の空気は動揺から一気に笑いに傾いた。
その下品な声もまた煩い。
俺は掴まれていた手を叩き落とし、睨みつけた。
盛り上がっていた生徒たちの顔がぐうっと引きつる。
「…………ゆ、ユウ、早く戻って来い! 死ぬぞ!」
小声ながらも声を上げ、血の気を無くした顔で必死に手招きする生徒もいるが、言われた張本人はケロリとしたものだ。
はたき落とされた手を唖然とした顔で見てから、心底不思議そうに首を傾げた。
その目には「何で俺、叩かれたんだ?」とはっきり書かれている。
自分のせいでちょっとした騒ぎになっていることにも気付いていないらしい。
幸せだな、お前。もし自分が死にかけていたとしても気付かないんじゃない?
俺はひどく冷めた目で新入生達を見て(残念ながら全て丸聞こえだ)、スポーツ男には目もくれずに告げた。
「うるさい、近寄るな」
「ごめん! 俺、つい興奮しちゃって。……これこそ顔立ちが整ってるって言うんだよな。うわ、肌もすげーきめ細かい! 一体何食べて生きてきたらそんな風になれるんだ?」
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