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チグハグ兄弟 1
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「兄弟(ブラザー)制度?」
寮の前には、表が貼り出されていた。
何だこれ。
「知らないの? 俺教えようか」
腰を押さえながらひょこひょこ歩いてきたスポーツ男が、俺の肩を親しげに組んだ。
何お前。もう復活したの?
すぐさまその手をはたき落とす。
ブォン、と風が唸ったが、「おお、すげぇ反射神経……」なんて言いながら目を輝かせる奴は、やはり少しも堪えていないようである。
本当に何だこいつ。
俺は顔を歪めてその場を離れた。
追いかけようとするスポーツ男を、「いい加減にしないとマジで死ぬって!」生徒達が羽交い締めにして止め、すかさず口を押さえている。
「むがむがむご!」
ようやく鬱陶しい奴が離れて清々していた時、パンパンと手を打つ音がその場に響いた。
「はいはい、静かにしろよお前ら……ん?やけに静かだな。何かあったか?」
表の前に群がっていた新入生達をかき分けて、背の高い黒髪の男が前に立った。
黒縁眼鏡の奥の理知的な目が、沈黙する新入生達を見て不思議そうに瞬く。
「……あー。俺は三年A組、寮長の早川だ。寮のことについて、入学式でも簡単に説明したが、もう一度言っておくな」
早川は、怯えつつも正直な数々の視線が向かう先、壁に背を付けて不機嫌そうに立つ俺を目に留め、苦笑した。
不自然な沈黙の原因が分かったらしい。なぜ見ただけで分かるんだ。
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