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チグハグ兄弟 2
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「この学園には、兄弟制度という特殊なルールがある。俺たち三年生は受験で忙しいから、二年生と一年生が一対一でペアを組み、『兄弟』として一年間過ごすんだ。目的は色々あるが……主に、弱い者を守り、問題児を抑えるためだな。兄弟は一年間同室で暮らし、助け合って暮らしてもらう。他にも細かいルールがあるから、生徒手帳で確認しておけよ」
何だその面倒な制度は。
俺はうんざりして、手をズボンのポケットに突っ込んだ。帰りてー。
「この表に、お前らのクラス順に兄となる人が書いてある。『兄弟』は原則変わらないが、性格の相性もあるからな。今月いっぱいまでなら変更(チェンジ)も許される。その場合は、生徒会長に直談判に行けばいい。……ただ、かなり苦労して組んだみたいだから、余程の理由がない限り許可は下りないと思うが。ま、頑張れよ」
そんな微妙に無責任な言葉と共に、今日のところはお開きとなった。
表の前にわらわらと人が集まってくる中、俺も自分の名前を探す。
A、B……、C組、401号室、幸村紫樹。見つけた。兄は、瀬良(せら)月夜(つくよ)。ふーん。……瀬良?聞き覚えのある名前に、あのチャラそうな男の顔がぼんやりと浮かんだ。
……………いやいや、まさかな。偶々同じ苗字なだけの別人だろう。
そう、絶対別人だ。
あんな軽薄な奴と同室になったら、絶対にストレスが溜まる。
うっかり思い浮かべてしまった人物を脳内で打ち消しつつ、俺は他の新入生達より一足先に、自分の部屋へと向かった。
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