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チグハグ兄弟 3
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四階の角部屋。
何の躊躇いもなくドアを開け、一歩中に入ったところで俺は絶句した。
ギシギシ音を立てるベッドに、獣のような荒い息づかい、部屋の中にむわんと篭る熱。
絡み合う肌色の物体のうちの一つは、ついさっき見たような。
そこまで考えたところで素早く足を引き、ドアを閉めた。
ガチャン!思ったより大きな音が響いた。
「…………」
僅かに沈黙した後、柳眉を寄せて隣室に目をやる。
部屋を間違えたのかもしれない。…………きっと間違えたのだろう。誰かそうだと言ってくれ。
無心でじっと見つめていれば、「ひいいっ!」ちょうど隣のドアの前まで歩いて来た生徒が、甲高い悲鳴を上げて腰を抜かした。
鼻先まで隠れる鬱陶しい前髪の下から、血走った目がチラチラのぞく様子は、正直かなり気味が悪い。
俺は即座にポケットからスマホを取り出した。
「もしもし、警察の方ですか。ここに不審者が……」
「うわぁぁぁ待って下さい! ぼぼぼ僕、こ、ここここの学校の生徒なん…です……よ…………」
俺の目つきに声が尻すぼみになっていく男は、残念ながら紛うことなきこの学園の制服を着用し、緑のネクタイを締めている。
「…………すみません、間違いでした」
不本意ながら断りの文句を入れて、電源を切る。
そいつは俺から錆びれた機械のようにギギギと首ごと視線を引き剥がし、尻餅をついた態勢のまま、這うようにして部屋に入って行った。
そんな切腹前の侍みたいな顔しなくてもいいのに。 ウケるー。
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