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誤算.2
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「…もうこんな時間か。じゃあ、明日は頼んだ」
それだけ言って、素早く机の上の書類を鞄に詰めこめば。
「…また、帰ってオシゴトか?随分と熱心だな?」
鼻で笑った伸也から落とされたのは、そんな嫌味。
オシゴト、と、殊更強調するように告げられたのには、無論意味がある。
この学校には、特有の文化ーーー"人気ランキング"が存在して。
俺は、この学校特有の人気投票ーーーー“抱かれたいランキング”とやらで1位をとったがために、今会長の座についている。
ありがちな話だが、その影響か、俺には少なからぬ数の噂が存在した。
その1つは。
「本当にねー。そんなに毎日お盛んとか、逆に尊敬しちゃ〜う。」
…………俺が“可愛い生徒を毎晩抱いている”というもの。
なんなら、持ち帰った仕事を、そいつらや親衛隊にさせていると思われている節さえあった。
実際には根も葉もない噂なのだが、ではなぜ態々仕事を持ち帰ってまで早く部屋に帰りたいのかと言われるのも、面倒くさい。
最終下校のチャイムが鳴ったとはいえ、時刻はまだ6時半。
あくまでそれは一般生徒の最終下校だ。
それなりに仕事が多くある生徒会は、もっと遅くまでのこることが許されている。実際、大抵の役員はその制度を度々利用しており、あまりにも忙しい時期にはそこに泊まることもザラだった。
だから、俺が毎日毎日早く帰るのは少なからず不自然なわけで。
だから、
「そりゃどうも」
適当に流しておくのが、結局1番楽だ。
「…………ほめてないしー。ほんっとむかつく〜」
苛立ったようにそう吐き捨てた薫は、名実共に手が早いことで有名だ。
俺からすれば薫こそ度を超えているように思えるが、当人と周りがそれでいいなら外野が口を出すことでもない。
構わずに帰る準備を進めれば、視界の端にうつる伸也は、もう既に興味をなくしたようで、こちらには見向きもしない。
「じゃあな」
さっさと行けとでもいいたげな嫌悪の視線に背を向け、生徒会室を後にした。
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