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1.(side????)
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ーーーーーー昔から、ずっとずっとあいつが嫌いだった。
何でもできて、何でも持ってて、
なのにそれをひけらかすでもない。
いつだって、人だかりの中心にいるのは、あいつ。
…いや、ちがうか。
あいつの周りに、人だかりができていた。
物事を動かすのも、皆を動かすのも、全部あいつ。
俺なんて、全然歯が立たない。
自分だって、ひとよりは優れているはずなのに。
あいつの隣に立てば、たちまち引き立て役に成り下がる。
「……………」
そう、敵わない。
どんなに歯をくいしばって頑張っても、目の敵にして、あいつに張り合っても。
敵わないし、あいつの足元にも及ばない。
あいつはいつだって涼しい顔で、俺の前を駆け抜けて行く。
いつだって、欲しいものはあいつの手の中に収束した。
…だから、ザマアミロって思った。
あの日。あいつが全てを失ったとき。
これで、俺が勝ったと思ったのに。
これで、歯をくいしばって耐えるのはお前だって思ったのに。
俺の足元にも及ばないのはお前で、
俺を心底羨むのも、お前。
そのはずだろ?
それなのに。
ーーーー『生徒会長、椿屋響介。』
なのに、なんで。
どうして、お前はまだ。
今になっても、俺の目の前に立ち塞がっているのか。
もう濁っているだろうと思っていた目も、澄んだまま。
その伸びた背筋も、
人を従えるオーラも、
何1つ失ってはいない。
お前は、全部なくしたはずなのに。
なんで。
そして、その目は。
相変わらず俺を写しはしない。
俺なんて、眼中にもないし、興味の対象もない。
俺の視線の先には、いつもお前がいるのに。
こんなに惨めな思いは初めてだった。
こいつにだけは、負けたくなかった。
悔しい。
なんで俺ばかりがこんなに囚われているのか。
憎い。
どうやったって、お前は俺よりずっと先にいる。
あいつは、どこにいっても、何を失っても、結局は"オウサマ"なのだ。
この差はなんなのかって、考えたとき。
目の前にずらりと並んでいるのは、人、人、人。
どいつもこいつも、オウサマを讃え、慕っている。
それはそうだ。
だって、人を従えるのが、人に慕われるのが、オウサマ。
………じゃあ、その人が、裏切ったら?反逆したら?
そのオウサマは、どうなるのか。
口元に自然と笑みが浮かんだ、きがした。
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