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予想外の事態.1
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ーーーーどうして、こうなった。
現状を表すなら、この一言に尽きる。
俺が生徒会室で倒れてからというもの、予想外の出来事が多発していた。
まず、1つ目。
これは、倒れたその日に起こった。
ーーーーーーーーー
寝苦しさにふと目を覚ますと、枕元に武川が立っていた。
「……?!!?」
驚きのあまり、声にならない悲鳴が漏れる。
お前は亡霊か。
しかし、その次の一言が、その衝撃すら軽く吹き飛ばした。
「おい椿屋、お前しばらく俺の部屋に寝泊まりしろ」
「………は?」
「保険医からのお達しだ」
「は?保険医?何の話だ」
「この部屋に来る前に、保険医にお前を診察してもらったんだよ」
「………。」
そんな話聞いてない。
…が、考えてみれば当然だ。
俺だって、倒れてるやつを見たらまずは保険医に診せるにきまってる。
「睡眠不足に、過労に、軽度の栄養失調だそうだ。この様子じゃまた同じことになるだろうし、だれかが見ててやれ、だとよ。」
「もうこんな失態はおかさねぇよ。帰らせろ」
…切実に。
しばらくのこととはいえ、こいつと2人で過ごすとか、どんな罰ゲームだよ。
……まぁ、ここまで世話になったことに感謝はするが。
「お前、倒れた上に、あんだけ無茶しようとしてたくせに、まだいうか。まぁ、俺のところが嫌なら、保険医に預けるしかないな?」
他の風紀たちは1人部屋じゃないしなぁ?
そういって武川は、ニタリと悪どい笑みをうかべた。
その選択は卑怯だろ、と思うものの、自分が今日1日だけでどれだけやらかしたかを思い返せば、なにも言えることはない。
「……お前は。」
「あ?」
「てめぇは嫌じゃねぇのかよ。わかってんのか、俺だぞ?」
大体こいつは、ずっと俺のことを嫌っていたはずだ。
なのに今ではその素振りすら見せない。
一体どうなっているのか。
「あぁ、そのことについてだが、」
そういうと、武川はおもむろに頭を下げた。
…………はぁ?
なんなんだ、一体。
脳みその処理が追いつかず、目を白黒させる。
「俺は、あんな馬鹿みたいな噂に流されて、椿屋のこと勘違いしてた。悪かった」
「……何なんだよ、それ。俺が噂を否定してねぇんだから、それを信じるのは普通だろ。なんでてめぇが謝んだよ」
ほんとに、何なんだ。大体、そんなこと言われて、どう反応したらいいんだよ。
「俺が、謝りたかっただけだ。自己満足だとでも思ってくれ」
「……そうかよ」
「それは、謝罪を受け入れてくれたってとっていいのか?」
「好きにすりゃあいいだろ」
「ふ…、そうかよ」
武川は俺を見てクスリと笑った。
……なんだこの空気。
あまりの居心地の悪さに、今にも逃げ出したい気持ちになる。
と、するりと肩に回される腕。
「じゃあ、和解も済んだことだし、これからしばらくは同じ部屋で仲良くしようぜ、椿屋」
そして、言葉。
「…………は?」
「もし、自分の部屋に帰ったりしたら、保険医にチクるからな。じゃ、おやすみ。あ、しばらくは風紀で生徒会の書類やるから、お前は余計なこと考えずに休め」
いい笑顔で武川がそう付け加えると、そのまま部屋を出ていった。
…………嵌められた!!
こうして、俺はしばらくの間、武川の部屋に寝泊まりすることになったのだった。
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