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2.(side????)
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上手くいったな、とただそう思った。
やってきた圧倒的な才能に、かつて一様に染め上げられたこの学園は、今では同じ相手に対する懐疑で満ち満ちている。
単体としては脅威なあいつ。
けれど、その周りにいる有象無象を揺り動かすのは、思った以上に容易だった。
…………あいつが、何も抵抗しないから、尚更。
あいつの地位は、瞬く間に落ちていって。
あっという間に、向けられる憎悪は、向けられる憧景を上回った。
この学園の頂点にいながら、あいつはどこまでも孤独だった。
ーーーーーこれで、目標達成。
そのはずなのに。
凛としたたたずまい、圧倒的なオーラ。
それらは、消えない。
明らかに何かがおかしいこと、気付いていないわけでもないだろうに、原因が何なのか、探ろうともしない。
…………これじゃあ、俺は何のためにやったのか。
勝ちたくて、あいつが苦しむところが見たかったはずなのに。
こんな有様じゃあ、どっちが負けているんだか分かったものじゃない。
ーーーー何か、違う手を考えなければ。
そこで、ふと目に写ったもの。
キラキラと澄んだ瞳、一心にアイツを慕うその態度。
これだ。
見つけた。
灯台下暗しとはまさにこのこと。
どうして気付かなかったんだろう。
"情け深く、正しいオウサマ"を揺さぶるのにもっと効果的な方法なんて、分かりきっていたのに。
向けた態とらしい笑顔を疑いもしない、その愚かさがどこまでも滑稽だった。
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