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目的の駅に到着し電車を降りると何を警戒しているのか、必要以上に距離を空けられてしまった。
「おーい、山田ー。んな離れなくても何もしねぇから安心しろよ」
「………」
優しく声を掛けてやるも、完全無視を決められる。
………何なんだろうか。
殴りたい………本当にムカつく。
折角人が体が辛かろうと慮って体を支えてやっただけだというのに、親切にしただけで何のやましいことも変な事もない筈だと思うのだが………これはあんまりにも理不尽なんじゃないだろうか。
「………変態」
「はぁ?」
じとりと睨むように目を細めしっかりと俺を見据えて、大変に不名誉な言葉をその可愛らしいセクシーな唇から紡ぎ出すこの山田という男を、本当にぶん殴りたい。
殴りたい、が、しかし………そこはぐっと堪えるのが先輩たる俺の大人の余裕ってやつだろう。
「ドMで淫乱な真性の変態に言われたくねーわ。俺のどこが変態だ、この変態っ」
「あんな、あんな人目につく所で腰を引き寄せ抱きしめるなんて、どんなつもりですか。信じられない………」
ぶつぶつと俺に対する不満を垂れ流す山田を呆れ顔で見詰め、ため息を吐く。
「抱くってお前………バカか、辛そうだったから支えてやっただけだろーよ。感謝されこそすれ、つべこべ文句言われる筋合いはねーよ」
「………センパイの倫理観を疑います」
「いや、お前どの口で“倫理観”とか言えるワケ?ド変態の癖に………」
結局、会社に着くまでずっとこの調子で不毛な言い合いを繰り広げる羽目となった。
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