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「お疲れ様です」
定時を知らせる終業のベルが鳴ると同時に、俺は席を立った。
当然のように絡んでこようとする課長を、
「お陰様で昨日の分と今日のノルマ、きっちり終わらせたので大丈夫です」
と、笑顔でかわしさっさと会社を出る。
チラチラと、山田が後をつけて来やしないかとつい後ろを確認するも………そんな気配はない。
まあ、当然といえば当然なのだが………なんだか少し拍子抜けしてしまった。
家に帰ってからもなんだか落ち着かず、誰が来るわけもないのに………つい玄関の方に視線を向けてしまう。
「………はぁ」
………山田が、性懲りもなくまた家を訪ねてくるような気がしていた。
もしかしたら、俺は心のどこかで山田が来る事を期待すらしていたのかも知れない。
………山田は、来なかった。
次の日も、その次の日も………会社でも決して俺の方を見る事も無く、勿論家にも訪ねて来ない。
それは俺にとって願ってもない、とても嬉しい事の筈なのに………なんだか心にぽっかりと穴があいてしまったようかのに空虚だった。
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