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そうしてやっと長く感じた午後の就業時間も終わり、定時になるとパラパラと席を立つ同僚を尻目にそわそわと落ち着かないまま………俺は席を立てずにいた。
………山田も、席を立たない。
遠慮がちにチラチラと盗み見てみれば、相変わらず涼しい顔でパソコン画面を見詰めている。
「お疲れサン………帰んねぇの?」
ぼうっとしていた所に急に声を掛けられて、俺はビクッと体を揺らした。
「あ、あぁ………もうちょっと」
歯切れ悪く言葉を濁していると、
「なんだよ。たまには飲みにでも行かないかって誘おうかと思ったってのに~」
と、気安く肩に腕を回されそのまま軽く首を絞められる。
ポンポンとその腕をタップして早々に“ギブアップ”を宣言し、飲みの誘いをおざなりに断って………こうして無為な時間を過ごしていても仕方がないと、しばらくして俺も会社を出る事にした。
山田はどうするのかと見てみると………やはりこちらを全く気にする様子もなく、相変わらず涼しい顔でパソコンと向かいあっている。
「………お先」
わざわざ声を掛けるなんて女々しいか、とも思ったが………口から出てしまったものはしょうがない。
じっと………しばらくその場を動かず返事を待つものの、ムカつく事に山田はこちらを一切見向きもしやがらなかった。
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