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「っ………ンッ………」
息を詰め声を抑える山田に、なんだか俺は意地になって噛み付き立てた歯を更に首筋の薄い皮膚に食い込ませる。
「………はぁ………アッ」
山田の声が洩れるのと同時に、口の中に鉄の味がじわりと広がった。
「セ………ンパッ………ンッ」
俺は山田の肉から歯を離し、はっきりと痕のついた歯形を硬く尖らせた舌先で舐めなぞるようにして吸い付く。
どれ程の時間そうしていたのか………唇を離してソコを見ると、元々ついていたのよりも一回り大きな赤い痕が色濃くついている。
「はは、ひっどいぞ………コレ」
「………痛い」
乱れた呼吸と、小さく洩れた抗議の言葉。
「痛いのが悦いんじゃないのかよ」
「………っ」
俺の言葉に、山田はふいっと顔を反らす。
「天の邪鬼め………」
そう言って、俺は反らされた山田の顎を掴んで無理やりにその顔を自分の方へ向けると桜色の濡れた唇に自分のそれを重ね合わせた。
「ふっ………ンッ、ぁ………っ」
しっとりとした山田の唇の感触が、気持ち良い。
さしたる抵抗をみせないのを良い事に、俺は舌を山田の口候へと侵入させる。
逃げる山田の舌と自分の舌とを絡ませ、唾液をすする。
上顎の奥を舌でなぞってやれば、大きくビクンッと体を揺らし身を捩って逃れようとするのを上から肩を押さえつけて逃がさない。
下唇を舐め、上唇には軽く歯を立て、そうしてしばらく山田の唇を堪能したあとは自分の唾液を口の端から溢れるくらいに山田の口の中に流し込んでから漸く解放してやる。
「………飲めよ」
しっかりと山田の目を見詰めそう言うと、思いきり眉を寄せ顔をしかめ不愉快をあらわにしつつも、ゴクリと喉を鳴らして素直に従い俺の唾液を飲み込んだ。
そして、一言。
「気持ち悪い」
「うるせぇ。俺だって………っ」
“気持ち悪いんだよ”と続けようとした言葉を、飲み込んだ………それが、矛盾している事に気がついたから。
本当に気持ち悪いのか、男とのキスが、山田との行為が………いや、違う。
嫌悪感を抱くのならばわざわざ自分からこんな事は仕掛けないし、それに………触って、確かめなくともわかる。
はっきりと、自分の体は反応し変化をみせていた。
「お前の事なんか、別になんとも思ってない………っ」
それは山田へ向けての言葉ではなく、自分に言いきかせるように………多分、今にも泣きそうな情けない顔をして、俺は呻くようにそう言った。
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