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その翌日から、健気な俺の涙ぐましい猛アタックが開始された。
「なあ、昼飯一緒に食べないか?」
「なあ、今日飲みに行かないか?」
「なあ、お前の家に行っても良いか?」
「なあ、仕事手伝ってやろうか?」
なあ、なあ、なあ、なあ………。
いつもいつも、山田は俺の申し出に“うん”と首を縦に振る事をしない。
大抵は心の底から“嫌です”というしかめ面、あとは嫌味だろってくらいに感情の籠っていない薄っぺらな微笑み、無表情………顔は違えど、可愛いらしい唇から紡ぎ出される可愛いくない言葉は毎回同じ。
「間に合ってます。結構です」
清々しいまでにきっぱりとした、拒絶の言葉。
「ほんっとにお前は可愛くない」
ぶーたれながらそう言って、くしゃくしゃに顔を歪めて………でもしつこくはせず、俺はすぐに引き下がる。
せめてもの救いは、どうやら他の男と遊んだりはしていなさそうだという事………とはいえ、こうも拒絶されていては口説くどころの話ではない。
さて、それではどうしよう………と真剣に悩んでみたところで良いアイディアが浮かぶべくもなく………。
当たって砕けろ、玉砕あるのみ。
何故だかこんな時にだけ無駄に発揮される大和魂をフルに猛り燃やして、俺は山田の家に特攻をかける事にした。
ダメで元々………やらない努力よりもやる徒労。
果たしてそれは本当に徒労で終わってしまったわけだが、とにかく、俺は山田の家へ向かったのだ。
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