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今まで山田にかまけていた時間を、エネルギーの全てを、俺は仕事へと向けた。
それはもう、柄にもなく張り切ってバリバリと働いた。
細々とした事務書類を一気に片付け、それから………
「長谷川、この企画だけど………………」
「佐山、来週の接待営業なんだが………………」
コツコツと根回しを済ませる。
本気を出してやれば、俺だって仕事はそこそこ出来る方なのだ。
加えて、勤続年数と比例して社員の性格だってある程度は把握している。
誰にどんな指示を出し、割り振り、上司にそれとなく進言すればどういう結果になるかくらいは、わかっている。
………とはいえ、実際に辞令が下るまではどうしたってドキドキと落ち着かなかった訳だが。
「………やってくれましたね。センパイ」
見事、俺の企みは成功した。
「何のことだか」
惚けてみても、山田には全てお見通しだろう。
「まさか、こんな事までするなんて………ちょっと必死すぎるんじゃないですか」
「オッサンを本気にさせると怖いんだって、これを機に覚えとけよ。青二才」
憤慨しながらその場を離れた山田の背中を、見詰める。
ニヤリと笑わずにはおれなかった。
それから視線をまた辞令書へと移す。
そこには、ここ数日の俺の努力の成果が顕れていた。
俺と山田の出張の辞令。
2泊3日の泊まり込みでの長崎への出張………これで嫌でも山田は俺と関わりを持たなければならない。
“必死すぎる”結構………俺らの世代は元々スポ根・熱血・努力が信条の暑苦しい世代なんだよ。
完全に駄目だとわかるまでは、なんだってやってやろうじゃないか。
そうして、日々は慌ただしく過ぎていった。
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