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俺の告白に山田はびっくりして、頬を真っ赤にして………それから冷たい顔になった。
「わあ、嬉しい。僕もアナタの事を愛しています」
無感動で抑揚の一切ない、山田の言葉。
「なんて、僕が言うとでも思いました?」
………そんな都合良くは、いかないだろうさ。
さっきまであんなに燃えたぎって熱くなっていた心と体が一瞬で冷たくなった。
心臓をギュッと握り潰されたような感覚。
痛くて、苦しくて………哀しくて。
「悪かった。ホテルに………戻ろう」
もう、俺には山田の顔を見る勇気なんかなくて。
これ以上、山田と会話をするのが怖い。
拒絶の言葉を、聞きたくなくて。
拒絶の瞳を、向けられたくなくて。
足早に、俺は車に戻る。
「………はは、超ダセー」
ハンドルを握る指先は、少し震えていて。
手を少し伸ばせば届く距離に、すぐ近くにコイツは居るのに………どうしようもなく遠くに感じて。
行きがけはあんなに見ていた山田の横顔を、もう見ることなんか出来なくて。
無言の車内、重苦しい気不味い雰囲気。
なんであんな事を言ったのか、なんで、なんで、なんで………。
自己嫌悪と後悔の波がどこまでも、どこまでも押し寄せて、寄せて返すことのないその波に飲み込まれて。
記憶すら、曖昧で。
気付けばいつの間にかホテルのベッドの中。
瞳を閉じても、瞼の裏には鮮明にあの美しい夜景と無様な自分の姿が映って。
眠ることなんか出来ず、寝不足で眼を真っ赤にして朝を迎えた。
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