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俺が席に戻ると、すぐに料理が運ばれて来た。
さすが大手チェーンのファミリーレストラン、仕事が早い。
「ドリアにサラダって………お前、女かよ」
つい、突っ込んでしまった後で“しまった”と後悔して………ああ、なんでこんな事を言ってしまったのかと気持ちが暗くなる。
「………さっきは、ありがとうございました」
どんな罵詈雑言が飛び出すのかと思っていた山田の口からは、予想外の言葉が飛び出て………うっかり山田の顔を見てしまった。
「………っ」
整った顔………長く密度の高い睫毛、くっきりとした二重の瞼、すっと通った鼻筋と形の良い桜色の唇。
右目の下にある黒子が、男の癖に艶っぽさをプラスしてとても扇情的な面持ちである。
「あ………あー、うん」
直ぐに、視線を外して
「仕事だからな………気にすんなよ」
それから、俺は下を向いてひたすら目の前の食事に集中して、山田の顔を再び見る事も会話をする事もなく会計を済まして店を出た。
午後も取引先の会社へ赴き、細かい契約内容と施工に移ってからの打ち合わせを行う。
こうして仕事をしていると、余計な事を考えなくて済むからとても楽だった。
山田の声を聞いても心が乱される事はない。
顔はやっぱり見る事が出来なくて、けれど仕事中は対面で座る事もないから、あれこれ悩む必要もなかった。
「そいじゃあ、また」
「はい、現地で………」
夕方、無事に就業時間を終えて挨拶をしてから取引先の会社を出る。
今日の夜も、飲みに行く予定だった。
正直、もうどこへも行かずホテルの部屋に引きこもっていたい心境だったが、これも仕事の一環で、付き合いだから仕方がない。
昨日は山田に夜景を見せる予定でレンタカーで向かったのだが、今日はホテルに車を置いてタクシーで向かう事にした。
飲まなきゃ、やってられない。
そんな心境だったのだ。
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