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山田を助手席に乗せ、ひとまずレンタカーでホテルへ。
「10分後に、ロビーに集合」
そう言い放って、それぞれの部屋に解散する。
ここへ向かうまでの車中は、それはもう生きた心地がしなくて息苦しかった。
ストレスを感じ過ぎて、過呼吸でも起こすんじゃないかってくらいに、居心地が悪い。
こんな思いをしているのはきっと俺だけで、山田の野郎は何も考えてなければ、どうせ何も感じてなんかいないんだろう。
きっぱりと、フラれた。
拒絶された、気持ち。
男ならすっぱりと諦めるべきなんだろう。
諦めたい。
俺だってさっさと諦めてしまいたい。
苦しい、苦しい………こんな気持ちは早く捨てて………忘れたい。
このまま山田に対して報われない恋心を募らせていても、仕方がない。
わかってる、わかってる。
そんな事は重々承知で、わかりきっている。
だけど人の心ってのは、そんなに簡単に割り切ることなんか出来なくて………ぐるぐると、出口のない迷路をさ迷うように俺の心は惑っている。
「2, 3, 5, 7, 11, 13, 17, 19, 23, 29, 31, 37, 41, 43………」
ぶつぶつと、俺は素数を呟いた。
この数字のように、解けば必ず答えの出る計算式のように、すっぱりと人間の心も簡単に割り切れてしまえば………答えが出れば良いのに。
「………行かなくちゃ」
気持ちは沈んだまま浮上する事はなく、足取りも重く俺は山田が待っているであろうロビーへと向かった。
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