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次の日も、その次の日も仕事が終わると俺は山田にベッタリと張り付く。
「………良い加減にして欲しいんですけど」
そう言いながらも、誘えばちゃんと山田は俺に着いて来てくれる。
「へーへー、良いじゃねぇか。タダ飯毎日食わせてやってんだから」
グラスの縁を舐めるようにちびちびと焼酎を飲みながら言い返すと、
「安い店ばっかりですけどね」
相変わらずの減らず口。
なのに、ちゃんと相手をしてくれる。
「悪かったな。お詫びに明日も奢ってやるよ」
俺がそう言うとジトリと睨むものだから、肩を竦めて笑ってやった。
「破産したって、知りませんよ」
「可愛くないヤツ」
カラン………と、立ち上がった拍子にグラスの中の氷が小気味良い音を鳴らす。
「でも、お前が世界一可愛い」
耳元でそう囁いて、トイレに向かう。
途中、立ち止まって………振り向いて山田を見れば耳がほんのりと紅く染まってるのがわかり、つい頬が緩む。
放っておけばすぐに、あっちにふらふらこっちにふらふら………誰とどんなハレンチな事をしでかすか分からない淫乱な想い人、本当になんでこんな奴を好きになってしまったんだろう。
「困ったもんだ」
顔をしかめ、ため息をついて、笑いがこみ上げる。
少し、酔ったのかも知れない。
席に戻ると、山田の姿はなく………慌てて電話を掛けてみれば店を出たなんて言うものだからこれまた慌てて料金を支払い、追い掛けた。
本当に、なんて面倒な奴なんだろうと頭が痛くなる。
幸いまだ店を出てさほど時間が経っていなかったらしく、山田の姿を見つけ安堵したのも束の間、隣には男が居やがった。
足が止まった。
肩を抱かれ、山田が目の前で男と歩いている。
肩を抱いているのだし、山田はあんな奴だ………とすれば、目的はひとつ。
考えるより先に体が動いたのは、きっと酒に酔っていたせい。
「悪いけど、コレ………俺のだから」
山田の肩に気安く乗せられていた腕を退かし、自分の方へ引き寄せる。
「………センパイ?」
驚いて見開かれた瞳はクリクリと大きく、裏返る声がなんだか可愛かった。
男が文句を言うのに構わず、呆気にとられた山田を引っ張り逃げるようにタクシーに乗り込んだ。
行き先は、山田の家。
怨めしそうに睨む山田の視線に気付かないフリをして、俺はずっと窓の外を見ていた。
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