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急いで走って………走って、走って………アテもなく闇雲に走ったものだから、息を切らして立ち止まった時には、もう自分が何処にいるのかわからなかった。
「………はぁ………はぁ………っ」
それにしても………………………。
俺は先程までの会社での出来事を思い出し、頭を抱えた。
こんな筈じゃ………こんな筈じゃなかったんだ………………。
いつもは要領良く仕事をこなし、ミスもしない奴なのに、今日は珍しく大きなミスをして、そんでしおらしく先輩の俺に助けを求めてくるものだから………だから、俺は………………………。
頭の中がぐちゃぐちゃで、まともに思考をまとめることが出来ない。
「………はぁー」
肩をこれ以上ないくらいに落とし、盛大な溜め息を吐いて………空を仰ぐ。
あー………高層ビルに囲まれたくすんだ空は、星の一つも見えやしない。
ちらりと右腕に嵌めている時計を見ると、もう深夜12時を回っていて………多分、ここから急いで駅へ向かっても終電には間に合うまい………俺は財布の中身を確認すると、タクシーを拾った。
30分程で目的地へ着くと、料金を支払いタクシーを降りる。
一人暮らしの質素なワンルーム………特に趣味という趣味も持ち合わせていない俺の部屋は、生活に必要な最低限のものしかなく、その割りにはえらく散らかっている部屋………。
帰ってくるなり、俺はシャワーを浴びることもせずスーツが皺になるのも構わず、ベッドにダイブするとそのまま泥のように眠った。
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