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きらきらと輝くその中に君はいた。
交わる事のない君と、僕。
それでも好きだった。
何を望むわけでもない、ただ好きでいられればそれで良いと。
そう思っていたのに。
その手は、僕に伸ばされた。
「お待たせ」
学校から少し離れた所にある小さな公園、僕はそこで彼を待っていた。
彼、藤本君は、同じ学年の人気者だ。
そんな彼がどうして僕と待ち合わせをしているのか、いまだ考えてしまう事がある。
偶然、同じ委員会だった僕が藤本君の仕事を手伝う事になり、それをきっかけに極偶に話しをするようになった。
藤本君は、勉強は苦手らしいけれどスポーツは得意で、明るく、いつも皆が藤本君を囲み、誰からも好かれていた。
僕もその内の一人だ。
でも決して近付く事は出来ない。僕は藤本君とは正反対の人間なのだから。
埋もれてしまえば、誰にも見つけてもらえないような存在。
始めは憧れから、そしてその想いは変化する。
藤本君に、恋をしたのだ。望みのない、恋を。
でもその恋は、何の奇跡なのか、突然実ってしまった。
告白は、藤本君からだった。
隠して、気付かれないように想っていた相手からの告白に僕は驚くばかりだった。
「男同士とか、気持ち悪いよな。でも、ずっと好きだったんだ。だから、付き合って欲しい」
夢でも見ているのかと、疑って固まる僕に投げられる言葉。
信じられないと思いながらも、今素直になれば、想像すら出来なかった幸せな日々が現実になるのではないかという気持ちが湧いた。
それは、本当は手に入れたくて仕方なかったもの。
気付いた時には、藤本君の言葉に頷いていた。
「また何か考え事をしてるだろう?」
はっとなると優しく笑う藤本君の顔が見えた。
「…ご、ごめん」
「いいって。怒っているわけじゃないから」
僕は撫でられる頬の熱を感じながら頷く。
「良かった。それじゃあ行こうか」
行く先は藤本君の家だ。
家以外の場所に二人で行った事はないけれど、同性の恋人なのだからそれは仕方ない。
付き合って二週間、手を繋いだ、抱き締められて、キスも、した。
その度に幸せを感じて体がふわふわした。
僕も藤本君も、同性でもその先に進む方法がある事を知ったいた。
でも藤本君はそれ以上を求めてはこない。
それは僕が全部初めてだからだと言った。
「平岡は初めての事ばかりだから、大切にしたいんだ」
それを嬉しく思った。
でも本当は、そうなりたい気持ちが僕にあると知ったら、藤本君はどう思うだろう。
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