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逆らえない -2-
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俺が通う高校の最寄り駅で降りる。
降りるのは同じ制服の生徒ばかりの、小さな駅だ。
普通しか止まらないような、普段は無人に近い駅には、公衆便所がホームの両端にある。
俺と一緒に電車から降りた興本は、慣れた様子で、駅の便所へと向かっていく。
当然、俺もその後に続いている。
慣れたも何も、この駅の便所に入るのは、もう数え切れないくらいあった。
それは今朝の様に通学の途中だったり、放課後だったり、休日の昼間だったりしたけど。
いつも入るときは、興本と一緒だった。
男子トイレに一つしかない個室へと、二人で入る。
俺から入って、後ろから入った興本が背中で鍵をかける。
向き合う興本の顔は、いやらしい笑みを浮かべていて。
こんな時にでさえ、俺は興本の整った顔立ちにほんの一瞬だけ見惚れてしまった。
丁寧に手入れされた眉は太すぎず、凛々しい顔立ちを演出している。
切れ長の目ははっきりとした二重で、一重の俺には羨ましい限りだ。
筋の通った鼻も、薄めの唇も、小さな顔にバランスよく配置されていて、イケメン俳優と呼ばれているテレビの人と並んでも、よっぽどカッコイイと思う。
「井瀬ちゃん、見つめすぎ」
「…ッ」
そんな興本が俺を見て笑って。
少しだけアンモニア臭の漂う狭い空間で、俺の体を抱きしめた。
重なる唇に、俺は腕を伸ばして背中に抱きつき、身を委ねるように目を閉じた。
興本の舌が俺の唇を舐めて催促するから、俺は躊躇いもなく口を開く。
さらに体は密着して、舌が口内へと入って来た。
体が熱くなっていくのが分かる。
舌を絡め、お互いの唾液を交換し合う。
零れそうになるのを、俺は逃さないように飲みこんだ。
「遅刻しちゃうね」
キスだけを繰り返した後、興本が言った。
遅刻というだけなら興本が通う学校の方が遠い。
けれどここでの問題は、俺の方。
成績なんてあってないような、不良しか集まらない興本の高校と違って、俺が通うのは進学校。
試験の成績だけでなく、普段の生活態度も、今後の進学に大きく関わってくる。
欠席ならやむを得なくても、遅刻はその対象にならないだろう。
「終わり、に、する・・・?」
体の興奮で息の上がった俺は、途切れ途切れに言葉を繋いで、聞いてみる。
正直、股間が辛い。
でもそれは、電車内からずっと硬くしている興本にとっても同じことで。
それを今もなお制服越しで感じてる俺は、窺うように興本を見上げた。
本当は少し、期待していた。
「そうだね。続きは学校が終わってからにしよう。迎えに行くから」
だから、あまりにもあっさりとした終了宣言に、俺は一瞬反応ができなかった。
「あ、うん…」
「良い子で我慢してろよ? 間違っても一人で抜くんじゃねーぞ」
最後に米神にキスを一つだけ落として、興本は俺から体を離した。
そしてさっさと鍵を開けて出ていってしまう。
俺は少しだけ体の興奮を冷ましてから、トイレを出た。
もう辺りには、誰もいなくなっていた。
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