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逆らえない -4-
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トイレで思案の末、写メを送った。
すぐに返信は来なかったけど、送れたという事実だけで良かった。
アレで良かったどうかは、今日の放課後、興本が迎えに来たときにでも分かるだろう。
果たして、その予想は当たっていた。
放課後になり、部活へ行く糸田とは教室で別れた。
部活をしていない俺は興本が来るまで、教室で待っていることにした。
最初は賑やかだった教室も、一人、また一人と帰っていく。
律儀に俺にも声をかけてくれる人もいて、彼らを見送りながら興本からの連絡を待つ。
興本が通う高校は、地元では不良校として割と名前が通っている。
名前を言えば、大抵の人は「ああ、あそこね」と少し怖がる。
ここからだと距離があるので、名前を知っていても実際にそこの生徒と会ったという人は、あまりいないかもしれない。
俺はブレザーだけれど、興本は学ランだ。
でも学ランの高校は珍しくないので、一目では分からないだろう。興本は不良と言っても、見た目はクールな男前だし、そこまで制服を崩してもいない。
そういえば、興本はここまでどうやって来るのだろう。
朝は電車だったが、興本はバイクも持っている。
電車だと30分はかかるだろうか。バイクだったら、飛ばせばもっと早く着くかもしれない。
どちらにしても、目立つだろうな、と少しだけ憂鬱になる。
無意識にため息を吐いたところで、携帯が震えた。
メールではなく着信だった。
「あ、井瀬? もうすぐ着くから裏門で待ってろ」
風の流れる音を背後に、興本の声が聞こえた。
「うん、わかった。興本、何で来てるの?」
「あ? バイク」
「二人乗りだと、捕まるよ」
「だから? それより早く来いよ。マジですぐに着くぞ」
少し不機嫌になった声音に、俺は慌てて教室を出た。
廊下を競歩並みに早歩きで通り、階段は1段飛ばしで降りた。
下足室から裏門まで全速力で走ったが、すでに興本の姿はそこにあった。
なぜか私服姿で、たばこを吹かしている興本は、同じ高校生には見えない。
「おせーよ、井瀬ちゃん」
俺に気付いた興本は、にやりと笑い、吸っていたたばこを足元で消した。
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