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自己紹介 -5-
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さすがにリビングのソファで最後までするのは危ない、という判断ができる程には二人とも理性が残っていて。
興本に手を引かれるまま2階にある俺の部屋へと行こうとしたところで、タイミングよくというか間が悪いというか、両手にスーパーの袋を抱えた母さんが帰って来た。
「あ、おかえり…」
「お邪魔してます」
「ただいまー。興本くん、いらっしゃい」
俺と興本は手を繋いだままだ。普通に考えて男同士で手を繋いでいるのはおかしい。
けれど母さんは気づいていないのか敢えて触れないでいてくれるのか、にこにこと笑顔で興本の訪問を喜んでくれた。
「すぐにご飯作るからね。お風呂は沸かしてるの?」
「うん、準備はしてる。もうすぐ湧くんじゃないかな」
「そう、なら、お風呂が先になるかもしれないわね。できたら呼ぶわね」
「ありがと。行こ、興本」
ぱたぱたと忙しなくキッチンへ向かう母さんをよそに、俺と興本は結局手を離さないまま部屋へと向かった。
「相変わらずだな、おふくろさん」
母さんと対面したからか、さっきまでの興奮が少し収まってしまった。俺と興本はベッドの上で抱き合うだけで、激しい行為をする気にはなれずにいた。
それでも時折キスをしたり、体に手を這わせて軽い愛撫をしたり、どこかしらお互いに触れあってはいたけれど。
「やっぱりお前んちは安心する」
興本が甘える様に俺の首元に顔を埋める。俺を抱きしめる両手がなぜかお尻を揉んでいるけれど、スンスンと鼻をくっつけてきたりペロペロと喉元を舐めてきたりする興本は、気まぐれな猫が甘えてきているようですごく可愛い。
興本はかっこいいけど、たまに可愛くもなる。それはとてもずるいと思う。
そんな興本だから、俺は何でも許してしまうのだ。もともと逆らうつもりもないけれど、もっと甘やかしてあげたくなる。
だけどこんなふうに俺に甘えてくるってことは、それだけ興本がナーバスになっているということでもあるわけで。
「家で、何かあったのか?」
本当は聞いてはいけないことを、俺は口にしてしまった。
興本が話したくないことは、聞いてはいけないことと同じこと。
それを俺は知っているのに、聞かずにはいられなかった。
興本の頭を抱き抱えて、優しく髪を梳くように撫でた。
がぶ、と鎖骨を噛まれて痛みが走る。
「お前には関係ない」
ただ一刀両断されて、それ以上踏み込むなと警告された。
ぐ、と肩を押され、気づけば馬乗りになった興本に組み敷かれる。
見上げた興本の顔は、不快そうに表情を歪ませていて。
「お前のこと、俺の好きにしていいんだよな?」
不敵に笑った興本に、俺は不覚にも胸を高鳴らせた。
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