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デート -1-
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キスをたくさん交わして一夜を過ごした。
興本は「井瀬はキスが好きだよね」と笑うが、俺からすれば興本の方がキス魔に見える。
正面から抱き合っている時は頭から足の先まで口づけていくし、後ろから抱きしめては背中にも口を付ける。
だから俺の体で興本が口づけていない場所はないくらいだ。
それが嬉しくて気持ち良くて、つい頭が蕩けていい様にされる。
激しく打ち付けられる快楽も訳が分からなくなって気持ちいいけれど、くすぐったいような小さな快感も俺が興本に夢中になる要因の一つだ。
そうして興本の全てに夢中になって、いつの間にか意識を飛ばしていた。
気づけば朝になっていて、裸のまま、俺と興本は抱き合ったまま眠っていたらしい。
興本の腕の中はひどく安心できて心地よくて、ずっとその中にいたいと思うけれど、汚れたままの体を洗いたい。
週末で学校は休みだから急ぐ必要もないけれど、俺は身動ぎをしてそっと興本の腕の中から抜け出した。
時計を見ればまだ朝の5時を過ぎたところだった。
親もまだ眠っているようで、家の中は薄暗く静かだった。
手早くシャワーだけを浴びて、すぐに部屋へ戻るつもりだった。
シャンプーを洗い流したところで不意に風呂場の扉が開く音がした。
まさかと思い、驚いて振り向けば、不機嫌そうな興本が入って来た。
「興本? どうしたの…」
俺の問いには答えず、興本は俺を壁に押し付ける。
シャワーのお湯が興本にも降りかかり、濡れた前髪を鬱陶しそうに持ちあげた。
その何気ない仕草にも高校生にあるまじき色気を感じ、睨まれているにもかかわらず自然と俺の胸は高鳴った。
「何勝手に俺から離れてんの。シャワー浴びたいなら起こせよ」
理不尽ともいえる我儘に、けれど俺は謝るしかない。
「悪い。疲れてるかと思って」
「それはお前が決めることじゃねーだろ」
言い訳すら許されず、俺は項垂れて再び謝罪の言葉を口にする。
「ごめん…」
俯いた顔を指先一つで持ちあげ、興本の薄い唇が俺に触れた。
「お前は俺の腕の中にいれば良いんだから、勝手に抜け出すな」
低く重い声音で囁かれ、返事をする間もなく口を塞がれた。
絡まった舌に言葉を出すことも首を振ることもできず。
俺はただ、体を押さえつける興本の背中に腕を回し、ひたすらに抱き着いた。
昂った感情をシャワーで流し、ややすっきりした状態で二人して浴室を出た。
軽くドライヤーでお互いの髪を乾かしあい、ラフな格好に着替えてリビングに入る。
「おはよう、二人とも。朝ごはんまだなの。ちょっと待っててくれる?」
俺たちがシャワーで色々いたしている間に母さんが起きてきていたようだ。
俺は少し恥ずかしく思いながらもなんとかポーカーフェイスを貫き、興本ともにソファへと腰を下ろしてテレビを付けた。
朝の情報バラエティを何とはなしに眺め、時折口を挟んでは朝食ができるのを待った。
「そういえば今日はどうするの? どこか出かけるの?」
母さんが俺たちに今日の予定を聞いてきたが、特に二人で話し合ったりはしておらず、俺個人の予定は空白のままだった。ちらりと興本を見れば、ばちりと目が合う。
「特に決めてないけど…。興本はどうする? どっか遊んでから帰る?」
「そうだな、買い物にもで行くか」
興本も買い物自体には興味がなく、思いついたまま言ってみただけという感じがありありと伝わる言い方で提案をしてきたようだけれど。
「それなら夜ご飯も食べて帰ってらっしゃい。母さんと父さん、今日は二人とも遅くなるから」
ちょうどよかったわ、と微笑む母さんの一言で、今日の俺たちの予定はほぼ強制的に決定した。
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