アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
デート -6-
-
それからずっと手を繋いで歩き、ついに駐車場まで着いてしまった。
次は森林公園へ向かうために再度バイクへと乗った。
メットを被る前に立ったままの興本に顔を持ち上げられ、今日何度目かの口づけをされた。
最初は触れるだけですぐに離れて、息を吐く間もなくまた塞がれた。
食むように唇を啄まれて、少し空いた隙から舌が入って来た。
「んぁ…ア…っ」
なぞるように舌を舐められ、吸われる。それだけで感じてしまい、声が漏れた。
自然とすがるように興本の腕を掴んだ。
舌を舐められては吸われ、また舐められる。それは角度を変えながら何度も繰り返された。
上手く息継ぎができないで、次第に俺の息は上がっていく。
「あっ、ん……は、ぁ…ん」
激しく深い口づけは徐々に緩やかになっていき、最後は優しく宥めるようなキスだった。
唇が離れたとき、俺はもう何も考えられなくなっていて、ただ興本の目をずっと見ていた。
「例えばさ、俺がこのままここでエッチしよって言ったら、井瀬は突っ込ませてくれるだろ?」
そろり、とさっきの激しいキスですっかり立ち上がったソコを一撫でして、意地悪そうな顔で興本が言った。
うまく思考が回らないまま、興本が何かを命令したのだと判断し、コクンと頷く。
ぐりぐりと指先で股間を刺激してくるから、逃げるように腰を引いた。けれどすぐに興本の長い腕に腰を抱かれて、厚い胸の中へと収まる。
「それと同じ。井瀬は俺の物なんだから、疑問に思うことなんて何もない。分かってるのか?」
囁かれる言葉の意味はよく分からなかったけれど、その声音が心地よくて、ただ頷くしかできない。
分かっているのは、手を繋ぐことを拒んだ俺の判断が、興本を怒らせたということ。
無意識の自己防衛のような反応だったけれど、それさえも興本はこうして何度も言い聞かせて、俺の行動が間違っていると警告しているのだ。
「ごめん。俺、もう嫌だなんて言わない」
だから怒らないで、と我慢できずに興本の背中へと腕を回した。
ほんとうはずっとこうしたかった。背中じゃなくて、正面から抱き付きたかった。
頭の上で興本が小さく笑ったのが分かった。
「別に怒ってないけど。…まあ、でも、お仕置きだな」
一瞬ぎゅっと強く抱きしめてから、興本は体を離すと今度はしっかりとヘルメットを被ってバイクに跨った。
大きな山道を一つ越えるとしばらくは平坦な道を道なりに進んでいく。
途中でコンビニに立ち寄ったりしながらも、2、3時間は走り続け、川を渡るとすぐに山道へと入っていった。
そこからずっと上り続ければ、二つ目の目的地である森林公園の入り口に着いた。
太陽は既に上りきっていて、天気にも恵まれ、青い空と少し冷えた風が爽やかに感じた。
公園と言えども遊具らしきものは何もないけれど、展望台や、少し離れた場所にアスレチック広場もあって、家族連れの姿もちらほらと見えた。
興本はバイクから降りると、俺の手をしっかり握ってわき目もふらずに進んでいく。
公園の奥へと入っていき、誰も入らない裏側まで連れて行かれた。
遠くの方で小さな子供の楽しそうな声が聞こえる中、静かに興本が俺を見る。
「とりあえず、昼寝でもしようか」
木の根元に頭を向けて、興本は仰向けに寝そべると目を閉じた。
「え、え…?」
どうしていいか分からないでいる俺に、興本は目を閉じたまま「井瀬も一緒に昼寝しようぜ」と腕を伸ばしてきた。
「本当に寝るの?」
「ここまで走りっぱなしだったから疲れたー」
大の字になって寝る興本の隣に、少し間を空けて腰を下ろす。
俺もそっと横になると、青い空が一段と大きく見えた。
そうしてゆっくりと流れる雲を眺めていれば、いつの間にか眠ったのか、興本の寝息が聞こえてきた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
20 / 114