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デート -9-
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コンドームをごみ箱に捨てて、乱れた衣服を直し、夕方になるまで俺と興本はごろごろと公園の芝生の上で寝て過ごした。
と言っても公園に着いたのがだいぶ昼を過ぎていたので、いくら冬よりも日の入りが遅くなったとはいえ、そろそろ帰ろうかという時には少し辺りが暗くなり始めていた。
公園を出るときは流石に手は繋がずに並んで歩き、公園を出てバイクに乗った。
興本は何事もなく平然としているけれど、俺の腰は少し休んだくらいではだるさが抜けきらないで、バイクに乗った後はすぐに興本の背中に凭れるように抱き着いた。
そんな中でも俺はやっぱり気になるから、ついつい興本の首元を見てしまう。まだ太陽は沈み切っていないから、注目すればはっきりと赤い痕が見えた。
「やっぱり目立つな…」
ぽそりと呟いた声は興本にはしっかりと届いていた。
「自分でつけといて、何言ってんの?」
興本は半笑いで言うけれど、場所を指定したのは興本自身だ。俺はこんな目立つ場所につけたいなんて言ってないし思ってもいなかった。
「いやだって、本当にここで良かったのかなって」
「良いんだよ」
「他の子に聞かれたらなんて答えるんだよ…。女の子に怒られるんじゃないの」
「別に、虫よけになって良いんじゃねー?」
「虫よけ…」
他の虫がつかないって意味なら、俺の得にしかならない気がするんだが。興本がどういう意味で言ったのか、既にヘルメットを被ってバイクを動かし始めている興本に聞き返すことはできなかった。
だから余計に気になって、帰り道の数時間、興本の背中にくっつきながらずっとそのことばかりを考えていた。
街に戻るとすっかり暗くなっていて、お腹もすいてきた。
だから駅の近くのファミレスで食べてから家に帰ることにした。
壁際の席を選んで、俺はカキフライ定食、興本はハンバーグ定食を注文した。
ドリンクバーも頼んだので、興本を席に残して早速二人分のコップを取りに行った。
「あれ、井瀬じゃん」
自分の分のジュースを入れたところで後ろから声をかけられた。
聞きなれた声に振り返れば、ジャージ姿の糸田がコップを片手に立っていた。
「あ、糸田」
「びっくりしたー。井瀬一人?」
「俺もびっくりだって。俺は友達と…。糸田は?」
「俺は部活帰り。ほら、あそこの席」
糸田が親指でさした方角に視線をやれば、確かに同じジャージの数人がワイワイと楽しそうに話しているのが見えた。よく見れば知った顔も何人かいた。
「ほんとだ。遅くまで部活とか、頑張ってんね」
休みの日まで学校に行くなんて帰宅部の俺には考えられないが、まさに青春って感じである意味では羨ましいとも思った。
「普通、普通。ていうか井瀬の家、この近く? 学校以外で会うの初めじゃん」
学校からは少し離れたこの付近で誰かに会うのは珍しくて、糸田の疑問は尤もだと思う。
「今日はたまたま。糸田はよく来るの?」
「部活帰りはよく皆で来るかなー。割とここら辺のヤツ多いからさ」
「そうなんだ」
「あ、ていうか引き止めてごめん。友達待たせてるんだよな」
俺が両手にコップを持ったままだったことに気付いたらしい糸田が慌てだしたのをきっかけに、俺は席に戻ることにした。
「別にいいよ。じゃあ、また明日な」
「おう。たまには一緒に遊ぼうぜ」
「うん」
軽く頷いて糸田と別れると、肘をついていた興本が視線を上げて戻って来た俺に気付いた。
「遅かったな。あいつ、誰だったの?」
どうやら糸田と喋っていたところを見られていたようだ。
興本が気にしてくるのが意外で、少し驚いた。
「高校の友達。クラスが一緒なんだ」
「ふうん…」
俺が差し出したアイスコーヒーを受け取って、興本は気のない返事をした。
気にしてるのか気にしていないのかよく分からない反応で、俺の答えが正解かどうかも分からなかった。
「さすがにここでキスしたらマズイよな」
「…っ、当たり前だろ」
「だよなー」
何を言いだすんだ、と睨み付ければ、興本は楽しそうに笑った。
時折こっそりと指先で遊ばれたりはしたけれど、それ以上の接触はほぼなく、和やかな時間を過ごせた。
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