アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
期末テスト -2-
-
昨日興本と来たファミレスに、今日は制服で糸田と来ている。
それがなんだか変な感じがして、正直、俺は浮足立っていた。
壁際の席に荷物を置き、ステーキとドリンクバーのセットを頼んだ。糸田はソーセージハンバーグとドリンクバーのセットを頼んでいた。
店員が離れてから、お互いに課題のプリントを取り出してテーブルに広げた。
「井瀬は進路どうすんの?」
進路調査は既に終わっていて、ある程度皆自分の進路を決めていた。
2年のクラス分けは文系か理系かという選択だけだったが、3年にもなれば進路別で更に選択科目が増えるからだ。
「俺は近くの私大かなー。糸田は?」
「俺も大学だけど、国立狙い」
「野球は続けないの?」
「んー、やるとしても部活程度だろうな。全国レベルってわけでもないし」
同じ大学進学希望ならば進級しても同じ授業を受ける機会は多そうだ。完全に分かれるわけではないようで、どこか安堵した。
時々お互いのプリントを交換してあーだこーだ解いているうちに、注文したものがそれぞれ運ばれてきて、いったん端に寄せて食べることに集中する。
糸田がドリンクを変えに席を立った。
一人で食べているところに携帯がメールの着信を知らせてきた。
開くと興本で少し驚く。興本は特にまめというわけでもないが、たまにこうしてメールや電話をくれるのだけれど、昨日会ったばかりだったから、今日もまた連絡をくれるとは思ってなかった。
――今何してる?
件名もなく、本文には愛想のない質問だけ。それでもそれが興本からくれたというだけで俺の鼓動を高鳴らせた。
――ファミレスで課題してる。興本は?
会話を続けたくて、わざと疑問符で終わらせた。
興本相手じゃなかったらこんな姑息な手は使わないのに、と自分でもあざとくて白けた。
送ってしまった後で恥ずかしくなって、すぐに携帯から目を離す。
糸田はほどなくして戻って来た。
「メール?」
携帯の着信が入り、糸田が聞いてきた。俺は「うん、そう」と軽く頷きながら画面を開いた。興本からの返信だった。やはり簡潔な素っ気ない文章だ。
――渡合たちとカラオケ。そっち行っていい?
会ったのは2,3回くらいだけど、すぐに渡合と十河の顔が頭に浮かんだ。相変わらず仲が良さそうだ。
――友達といるんだけど…。
――昨日のヤツ?
――うん。一緒に課題してる。
――近いからすぐ着く
あれ。会話になってるのかな、これ。
「どうした? 顔が可笑しいことになってるぞ」
「あれ、今貶された?」
「いやいや。難しい顔してたからさ。何かあった?」
俺はもう一度携帯の画面を見て糸田を見た。俺としてはあまり興本と糸田を合わせたくなかった。
「昨日の友達がさ、今近くにいるみたいで。今からここに来るって」
それでも一応言っておくべきかなと判断して、先ほどのやり取りを簡単に伝えた。
「え、あのイケメン?」
案の定、糸田は驚きながらもどこか嬉しそうに笑みを浮かべた。
だから嫌なんだ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
25 / 114