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期末テスト -9-
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お兄さんの部屋は渡合のごちゃごちゃとした感じとは対照的な、整理整頓されているというよりは物が少ないゆえのシンプルな部屋だった。
扉を閉めた興本は、抱いていた俺の肩を突き放し、乱暴にベッドへと押し倒した。
仰向けに倒れた俺に覆い被さってくる興本の表情はいつにもまして何も読めなかった。
「井瀬は、なんでテスト期間に俺がちゃんと気を遣って会わないようにしてたか、分かってない」
興本の顔からは何も感情が見えなかったけれど、その瞳を見ていればどこか切ない気持ちになった。きっと興本は悲しんでいるのだと思った。
だから俺は何も言わず、そっと包み込むように興本の頬を両手で触れた。
興本は擦り寄るように俺の手に自分の手を重ねてきた。
「高1の時のこと、覚えてるだろ?」
指の間に興本の長い指が入る。交互に指を絡めてそっと抑えるように掌が重なった。
興本の手に寄って俺の掌が誘導され、興本の唇に触れた。
「…あの時は、死ぬかと思った」
当時のことを思い出して思わず苦笑を浮かべた。
当時と言ってもまだ1年しか経っていないのに、もう随分と前のことのように感じた。
興本とエッチな関係になって間もない頃、情緒不安定だった興本は今以上に体を重ねる行為を求めてきて、それこそテスト期間も関係なかった。
昼も夜も関係なくて、俺は本気で殺されるかと思ったのだった。
「お前の青い顔を見て俺は反省したんだ」
掌に触れていた唇は、俺の肘や二の腕へとずらされていった。
段々と近づいてくるキスの雨に、俺は待ち望むかのように胸を高鳴らせる。
「ごめん…。興本、ごめんな…」
テスト期間を避けるようにしてくれていたことを、俺は気づいていた。気付いていて、甘えていた。
興本の独占欲が俺に向けられていることに今、すごく喜びを感じていて、口では謝っていてもそれは本音ではなかった。
だって俺は避けられている期間、ずっと寂しくて不安だったからだ。
俺といない時間はいったい誰が興本を慰めているのだろう、と思うと不安で仕方がなかった。
「これからはいつでも俺を呼んで。気を遣わなくていいから、俺で…」
――俺を選んで。
誰かは分からない、俺以外で満たされないで。
言いたいけれど言えない言葉は飲みこんで、代わりに自ら口づけをせがんだ。
触れてくる唇は柔らかくて暖かい。
どちらからともなく求めた口づけは貪り合うように舌を絡めた。
俺は性急にも感じる激しい口づけに夢中だったけれど、その間に興本は俺の服を脱がしていた。
前を肌蹴られ、俺の髪を撫でていた手が俺の胸や腹を撫でまわしていた。
乳首を指先で弄られ、抓られ、弾かれる。
胸を揉まれるが、それよりも下半身を触ってほしくて腰を擦り付けた。
「ン…ちゅ…、は…ん…」
口が離れて、舌と舌の間に糸ができた。
それを舐め取って興本を見上げれば、情欲にまみれた瞳と視線が合った。
「井瀬、足開いて。触ってほしい所、俺に見せて」
興本の低い声が静かなこの部屋ではやけに響いて聞こえ、ゾクゾクと快感に震えた。
「んっ、ぁん、」
興本の吐息にさえ感じて喘ぐ。
恥ずかしいが、逆らえる術は持ち合わせていなかった。
ズボンと下着を同時脱ぎ捨てて、左右に足を開いた。少し腰を浮かせれば、ヒクヒクと物欲しそうにしている俺の尻孔がきっと興本には丸見えだろう。
自分の指でそこを撫でれば、興本の喉仏が上下に動いたのが見えた。
男らしいその喉に吸い付きたい衝動を抑え、俺は必死で興本を誘った。
「興本…、んんっ…、お願い、触って…」
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