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期末テスト -10-
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何の雑音もない部屋で、ぱちゅんぱちゅんと肌が触れる音が響いていた。
「んあっ、あっ、はぅ…ンンっ、はっ…ああぁっ」
どれだけ我慢しても中を突かれるたびに声が漏れた。必死で興本の背中に腕を回して、興本にしがみ付いて顔を肩に埋める。
「は…っ…あ…、ふ…っ」
耳元で興本の息遣いも聞こえて、それだけでも感じてしまうのに。
「井瀬…、もっと抱き着いて」
甘い声でそんなふうに囁かれたら、腰から砕けそうになった。
「んぁ…っ、あっ、ぁん…ッ」
背中に回していた腕を首に巻き付き直せば、興本が俺の体ごと起き上がり、座ったまま下から腰を突き上げられた。さっきよりも深い場所を突かれて、もう堪らない。
顔を近づけてキスを強請ると、興本は舌を伸ばしてすぐに応えてくれた。
口内を舐めまわしたあと、お互いの舌を絡めて唾液を交換し合った。
脳内はもうトロトロに溶け切って興本しか見えなくなっていた。
ここがどこかも忘れて、行為に溺れていった。
…そう、不覚にも忘れてしまっていた。
「おかえりー」
お互いに絶頂を迎えた後、いつものようにしばらくベッドの上で二人してぐだぐだと過ごし、渡合の部屋に戻ったのはたっぷり2時間は経っていただろうか。
忘れていた気恥ずかしさに襲われ、俯きつつ興本の後ろに着いて部屋へと入った。
「あれ、十河は?」
興本の声に顔を上げれば、確かに十河の姿がなかった。
渡合と糸田がここに来たときのままの場所で座り、課題ではなく携帯ゲームで遊んでいた。
「バイトだからって帰ったよ。もー、汚してないだろうな!」
俺たちと入れ替わるように渡合は立ち上がって部屋を出ていった。
振り返ればお兄さんの部屋に入っていったので、俺たちの使った後を確認しに行ったんだろう。
情事後の部屋を見られるのはこれ以上ないくらいに恥ずかしいが、そもそもは渡合の家なので、やめてくれの一言も発せなかった。
よく覚えていないが、それほど汚していなかった気もする。
「渡合、課題終わったんだ?」
興本は平然とした態度で糸田に話しかけていた。
俺は興本の背中に隠れてこそこと座った。
「テスト範囲までは全部終わったよ」
「ふーん」
パラパラと渡合の問題集を見ていた興本はすぐに興味をなくしたようで、何やってんの、と糸田の手元を覗き込み始めたようだった。
俺には分からないゲームの話題で興本と糸田が話し始めた。
それからほどなくして渡合が戻って来た。
「…とりあえず布団は洗濯して干しておく」
布団以外は気になる所はなかったようだった。使ったところと言えばベッドしかないので当然と言えば当然の結果だった。
「渡合は勉強できたのか?」
「ハッ! オレは今までにないくらい頭良くなった気がする!」
「渡合は頑張ってたよ。公式もいくつか覚えられたし」
自信満々の笑みを見せる渡合と、それをフォローする糸田に、俺たちがいない間は本当に真面目に取り組んでいたのが分かった。二人を見てなぜだかほのぼのとした。
「お互い、テスト本番頑張ろうな!」
渡合と糸田はすっかり意気投合したらしく、帰るときには渡合が糸田に向かって拳を突き出していた。
それから約一週間後、糸田のLINEに渡合からピースのスタンプが送られてきたようだった。
俺はあの時の気恥ずかしさも忘れて、その画面を見せてくれた糸田と一緒に笑い合った。
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