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トライアングル -7-
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寝不足のまま俺は興本と一緒に家を出て、いつものように登校した。
「そうそう、今日あいつ連れて来いよ」
電車の中で興本が思い出したように言った。あいつ? と首を傾げながら興本を見上げると、少し目を細めた興本と視線が合った。
「名前なんだっけ…、俺と中学一緒だとか言ってた奴」
「…宗田?」
「あー、そう、そいつ」
興本にとっては一晩で名前を忘れるくらいの存在らしいことに若干宗田に対して同情を覚えながらも、昨日の今日で対面するという興本に俺の方が緊張する。
「店の隣の部屋、覚えてるか。あそこで会うから」
興本の言う店とは、何度か連れて行ってもらったBarのことだろうと見当を付ける。
あの隣の部屋が何の目的であるのかはいまだに謎のままだけれど、あそこに入ってやることと言えば体を重ねるくらいしかない。
とは言え、誰にも邪魔されない場所という意味では聞かれたくないことを話すのに最適なのは間違いなかった。
「わかった」
少し固い面持ちで頷くと、興本が俺の頭を優しく撫でてきた。まるで緊張をほぐすかのような仕草に俺は驚いて落としていた視線を思わず上げていた。
「お仕置きしたのは俺だけど、ちょっとやり過ぎたか」
苦笑して小さく何かを呟いた興本は、優しい手つきのまま頭から頬へと撫でながら、下ろしてきた指で俺の唇に触れた。
「そんな顔して…あいつに襲われんなよ」
耳元で囁かれて、心臓が飛び出るかと思った。
もしかしなくても欲求不満な表情にでもなっているのだろう。
俺の尻は昨夜の余韻を引っ張り続け朝からひくひくとしたままし、今だって公共の場であるにもかかわらず興本に触れたくてたまらないのだ。
「興本のせいだろ…」
じっと視線を合わせていられなくて、さっと顔を逸らした。
息だけでふっと興本が小さく笑ったのが分かった。
「ま、そうだけど。トイレで抜いてやろうか?」
そんなことをしたら確実に遅刻することを分かっていて、興本はことも何気に言ってくる。
しかも疑問形で言ってくるところがたちが悪い。あくまでも俺の意思で言わせたいのだ。
「…大丈夫だ」
屈するものかと変な意地が出てきて俺が答えると、興本はさっさと俺に触れていた手を離した。
未練を感じたのは俺の方で、逸らしていた顔を元に戻してしまった。
視線を向けると平然とした興本が前を向いて窓の外を眺めていた。
俺の心臓は未だにバクバクと鼓動を鳴らしていて、落ち着けようとため息を吐いた。
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