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巻き込まれる -2-
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静かな放課後の教室で、ぐちゅぐちゅと卑猥な水音が響く。
なぜこんな事態になっているのか甚だ疑問であるが。
卑猥な水音の原因は宗田だ。
無理矢理掴まれた俺の手は宗田のペニスを握らされ、宗田は俺の手を使って気持ち良さそうに自慰に励んでいる。
「ン…はぁ…っ」
漏れる吐息が耳にかかってくすぐったい。
というか、なんで宗田はこんなにも興奮しているんだろう。俺なんて萎えすぎてちょっと気持ち悪いんだけども。
「早くイケよ」
気持ち悪くて不快で、やけになった俺は自らの意思で激しく扱くことにした。早く終われという魂胆だ。
「んあっ! あっ、すげっ!」
いきなり刺激が強くなったからか、宗田は声を上げて善がった。喘ぐ宗田に構わず手を動かしていれば、宗田はそのままあっという間に俺の手の中に吐き出した。
「うげー…まじで出した…」
早く手についた精液を拭きたいのに、宗田は未だ俺の手を掴んで離さない。
俺が振りほどこうとしても更に強く握ってくる始末だ。
「つか待て待て待て! なに再開させようとしてんだよ!」
「いやーなんか井瀬の言葉攻めに興奮しちった」
「攻めてねーから!」
腕を撓らせて振りほどく。今度はすんなりと解けて安堵する。
「手洗って来いよ。んで、一緒に帰ろうぜ」
えー…。
嫌だなーと思っていたら、思い切り表情に出ていたらしい。
「そんなに嫌がらなくても良いだろー。ほら、俺、トイレの前で待ってるし」
もう宗田には関わりたくないのが本音だが、背中を押してトイレへと入れられる。手を洗いたかったのでそれは良いのだが、宗田が待ってるということに溜め息しか出てこない。
念入りに手を洗ってトイレを出ると、やっぱり宗田はそこにいて、なす術もなく一緒に廊下を歩く。
「なんで俺なの?」
沈黙が耐えられなくて適当に口を開いてみるが、本当は変態なのかと問いたかった。いやでも宗田の性癖に興味があるわけでもないので、素直に聞かなくてよかったのかもしれない。
「最初はとりあえず近い席のヤツに声かけるのは基本デショ。あとは興本と一緒にいたからかな。ほんとはさー、ちょっと興本に憧れてたりもしたんだよなぁ、中学ん時」
興本に憧れるってのは、男として共感できる。
顔が良いのは勿論だけど、孤高の存在というか、それでいて圧倒的なオーラというか。人を惹きつける雰囲気は確かにあるのだけれど、だからと言って人に群れない、人を簡単に寄せ付けない、そいうところがまたかっこよく見えるのだ。
「興本の周りはさー噂が噂だけじゃないって思わせるくらいに女が寄っててさー。俺もちょっと真似していろんな女の子と付き合ってみたりもしたけど。やっぱ、なんか違うなーって。何が違うんだろーって思ってて。男相手にしたら何か分かるんじゃないかって、思っちゃったんだよね。相手が井瀬だったから、あ、こいつなら俺もイケそうだわーとか思ったんだけど」
「思うなよ」
「仕方なくない? 興本の傍にいる井瀬が悪い」
まあ、そうなのだ。
いくら俺が嫌がったところで、興本と出会ってしまった過去は消せないし、今さら興本から離れるという選択肢は俺の中ではないのだから。
「なあ、ほんとに一回俺とヤってみない? これマジな話な」
「マジでないから」
こいつ諦めてないのかと横目で見てみるが、目が合った宗田はにこにこと笑っている。
「なんで? そんなだと井瀬一生童貞だよ?」
「なんで俺が一生童貞なんだよ」
確かに俺は興本としか経験がないけれども。そして多分、興本と離れない限りは童貞のままなのだろうけれども。
それを宗田に指摘されるのはなんだか不愉快だ。
じろりと睨んで見せれば宗田はキョトンと目を丸くした。
「え? 井瀬女の子とできるの? 興本に開発されちゃったんでしょ?」
「開発とか言うな!」
「痛っ!」
思わず手が出てしまった。宗田の頭を叩いた手のひらが少し痛い。
「井瀬…大人しそうな顔して暴力的だな」
「宗田にだけだよ」
「え! なんで! ひどくない?」
酷いと非難しながらも宗田の顔はなんだか嬉しそうだ。まじで変態なのかもしれない。
「でもそっかー俺だけかー。なんか自分にだけ見せてくれる顔ってキュンと来るよなぁ」
あ、ただのバカだった。
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