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グループ交友 -3-
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興本の噂は耳にするのに当の本人からは何のコンタクトもないまま日曜日がやって来た。
集合場所である駅前のロータリーに集まったのは合計12人。俺と宗田を含めた昼休みグループが5人に、有働と、クラスメイトの男が3人と女子が3人だ。
俺を含む昼休みグループの4人はTシャツにジーパンという地味な服装だが、宗田とクラスメイト達はネックレスやブレスなどでなかなかオシャレに着飾られていて、どう見てもこれから同じ行動をしていくグループには思えない。
意外なのは有働で、ラッパーかよというほどR&B色が強い恰好でやって来た。デカイ体格の有働にはよく似合っているが、あまり近くには居たくないタイプだ。
俺たちは見事な場違い感を味わい、そっとお互いを見やったが、糸田の横にニコニコと満面の笑みを浮かべる宗田を見て何も言えないでいた。
糸田に張り付く宗田を先頭に、電車に乗るべく駅へ向かう。
最初は糸田を真ん中に挟んで歩いていた俺だが、改札を抜ける頃には最後尾になっていた。
糸田の後ろにはクラスメイトの7人が入れ替わりながら歩いていて、その後ろに俺たち3人が並んで歩いている。
「......糸田が遠いぜ」
ぽつりと呟く俺の独り言に、あとの二人が続いて声を揃えた。
「それな」
規模は大きい方ではないけれど、休日ということもあり家族連れや恋人同士で来ている人たちで遊園地は溢れていて、メインのアトラクションでは待ち時間が30分以上というのがいくつかあった。
俺たちも例に漏れず、人気を誇るジェットコースターへと並ぶことになった。
「俺絶叫系苦手だから、出口で待ってる」
グループの最後尾にいた俺は前の二人にそっと声をかけて列から離れた。
糸田は宗田の隣でグループの先頭にいたから声はかけにくく、何も言わなかった。
「一人じゃアレだし、俺らもそうするか」
そう言って二人とも俺を追いかけてくれたので、三人でぶらぶらと歩くことになった。
「つか、井瀬とこうやってちゃんと話すの初めてだよな」
「そうかも。毎日一緒に飯食ってるけど、それだけだよな」
野球部の二人とは接点が糸田しかないので、二人の言うことも尤もだけれど、改めて言われれば不思議な感じがした。
今更だが、二人の名前は加藤と森野である。
最初に発言したのが加藤で、後に続いたのが森野だ。
野球部ということで糸田と揃って二人とも坊主頭が特徴だが、加藤は身長が高く痩身だ。森野は俺と身長は変わらなくて、けれど運動部らしくがっしりとした体躯をしているから羨ましい。
そういえば加藤はキャップを被っている。なぜか正面にあるのはサッカーチームのエンブレムだ。そこはプロ野球チームではないのか。
「井瀬、絶叫系苦手なら今日はあんま楽しくないんじゃないの」
「宗田とか、絶対絶叫系大好きじゃん」
「いや、もうちょっとソフトなのだったら大丈夫だと思う。糸田だけ犠牲にはできないし」
「犠牲って!」
加藤と森野が声を出して笑う。俺は真面目に言ったつもりだ。
「そう言えば有働は? あいつも絶叫系無理じゃなかったっけ?」
ふと思い出したように森野が言った。
まじかよ。あの身なりで絶叫系無理とか、宗田のやつ、マジで糸田のことしか頭になかったのか。
加藤が携帯で有働に掛けてみれば、すぐに応答があったらしく、一言二言話して通話を終えた。
そうして5分もしないうちに有働が背後から現れた。手にはソフトクリームが握られている。
ラッパーとソフトクリームがこんなにも似合わないものなのかと加藤と森野は爆笑した。
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