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グループ交友 -4-
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爆笑された有働は不貞腐れながらもソフトクリームを完食した。
それでも糸田たちが並ぶ列はそれほど進んでおらず、加藤と森野は自分たちも小腹が空いたと言ってフランクフルトとポップコーンを買いに行った。
図らずも二人きりにされてしまった俺と有働では、どうしても話題は唯一の接点である宗田になる。
「宗田には今日のこと何て誘われたんだ?」
「遊びに行くからってことしか言われてないから、まさか遊園地とは思わなかった。こんなに人数いるの知らなかったから、駅に着いたらびっくりしたぞ」
「はは、まじで適当だったんだな」
「まーよくあることだし、別にいいけどな」
「よくあるのかよ」
それでもそんな宗田に付き合ってあげる有働は良い奴なのかもしれない。
「だいたいいつもは宗田に気がある奴か、宗田が狙ってる子がいるんだが、今日は糸田にべったりだろ? よく分からないんだよなぁ」
視線を感じて有働の顔を見上げると、ちらりと横目で有働がこちらを見ていた。
「最初は糸田と俺と井瀬の4人だっただろう。この時点でいつもと違うって思ってたんだ」
「…女の子がいないからってことか…?」
「宗田、いい加減なとこは有るけどモテるからな。彼女も途切れてなかったし」
「確かに」
彼女が途切れてなかったのは知らなかったが、顔だけ見れば爽やかな好青年である宗田がモテなはずはないのは納得できた。宗田自身も興本を真似ていろんな人と付き合ってみた、みたいなことを言っていた。モテなければ真似はできないことだ。
「これはいよいよ男に走ったかと思ったんだが…」
「……」
「まさか糸田とはな」
おい、宗田よ。モロバレしてんじゃん。
「……冗談だ。引くなよ」
俺の無言をどう受け取ったのか、有働が苦笑しつつ肩を竦めた。
「冗談に聞こえなかったぞ」
「半分冗談だ」
「残り半分はよ」
「ははっ。井瀬って面白いなぁ」
「はは…」
俺は何と答えればよかったのか。
妙に洞察の鋭い有働との会話をどうやって切り替えていくかと考えている内に、加藤と森野が戻って来た。
「井瀬はフランクフルトで良かったよな」
加藤が2本の内1本を俺に渡してきたので、つい受け取ってしまったが、よくよく思い返してみても俺自身が頼んだ記憶はなかった。
「え、あ、ありがとう。いくらだった?」
「は? いーよいーよ」
「いやいや、よくねーよ」
「数百円くらい奢ってやるよ」
「なんだよ加藤、イケメンかよ」
「フランクフルトくらいで大袈裟じゃね」
可笑しそうににかっと笑う加藤が眩しく見えた。
1時間ほどで糸田たちがジェットコースターの出口から姿を現した。
4人で話していた俺らを見て糸田は眉根をひそめて少し機嫌を損ねている。
「お前らいつのまにそんなに仲良くなってんだよー」
隣に引っ付いていた宗田も慌ててこちらへやって来たが、クラスメイト達に腕を引っ張られて、やむなく糸田と引き離されてしまった。
「ちょっ、俺は糸田と―—」
「せっかくだし写真撮ろうよ~」
女の子相手に本気で振りほどけない宗田は元来優男なのだ。
糸田はそんな宗田を気にかけることもなく、俺たちがなぜ一緒にジェットコースターに乗らなかったのかと怒っている。
助けを求めるような宗田の視線に気付きながらも、俺にはどうすることもできないのだった。
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