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グループ交友 -6-
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『え? 女の子をナンパ? よく分かんないけど行く行くー! ちょうど十河もいるから、あと一人連れて行ったら完璧!?』
糸田からの突然の電話に驚きつつも渡合の答えがそれだった。
女の子と言う単語につられて見事に渡合が釣れてしまった。どんだけ飢えてるんだ渡合。
ほら、隣で電話の内容を聞いていた有働もキョトンと目を丸くしているじゃないか。
「糸田の交友関係どうなってんの」
電話一本でナンパをしてくれるという友人がいること自体に有働は驚いているようだ。それもそうだろう。俺だってびっくりだ。ただ哀しいかな、その渡合と糸田を繋げたのは俺なのだ。
宗田のことといい、なんだか糸田には申し訳ないような気がしてきた。
ともかく、女子を遠ざけるために渡合と十河が来てくれるのならば、それまでの間は我慢ができそうだ。
渡合によれば1時間もしないうちに来れそうだと言うので、その間にアトラクションの一つでも乗って(待ち時間が長いものは避けることが肝心である)、宗田達には気づかれないようにしなければならなかったが、それはすぐに解決できた。
比較的空いているアトラクションが近くにあり、そこに入ることになったからだ。
そこは小さな子供も入れる可愛らしい世界観のアトラクションで、建物の中を小さな列車を模した乗り物に乗ってゆっくりと回っていくというものである。これは女子たちによる選択に間違いないだろう。クラスメイトの男子たちも恥ずかしがりながらも女子の隣に並んで楽しそうに待っている。
あぶれた俺たちは、宗田に腕を取られた糸田によってその後ろへと並ぶことになった。
「何が悲しくて野郎とこんな可愛いのを見て回らなくちゃならないんだよぉ」
宗田の意図も糸田の思惑も知らない加藤と森野は始終文句を言いつつも、ジェットコースターをサボったという前科もあるため、渋々付き合っているという感じだ。
俺の隣に並ぶ有働はどこか楽しそうに見えるのは気のせいだろうか。
待ち時間も合わせて40分ほどで出ると、まだ渡合からの連絡もないまま、糸田は早々に遊園地の入口へ向かえるべく作戦を決行し出した。
「ちょっと飲み物買ってくるから、ここで待っててくれ」
糸田が宗田に言えば、宗田は当然ながら付いて来ようとする。宗田が動けば女子も動くので、ここは強く宗田を引きとめておかねばならない。
そこで出番なのは、俺と糸田以外で渡合達が来ることを知っている有働である。
「宗田、俺はトイレに行く。お前も付き合え」
「は!? なんでだよ、一人で行けよ!」
どうやって引き止めるかは有働に任せるということになっていたが、まさかの連れションかよ。流石に宗田でなくてもそれはどうかと思うぞ。
と、心の中で突っ込むも、俺にそんな勇気はなかった。
「遅いと怪しまれるぞ。どうするんだ」
さっさとその場から離れようとする糸田に駆けよれば、糸田の顔面は蒼白だった。
「気づいてないのか? 俺はさっきので女子の視線に殺されるかと思ったぞ。もう無理だ…」
あ。これはヤバイ。
「……渡合に連絡してみろ。早めに来てもらえ」
ウキウキで来ている渡合には申し訳ないが、事は一刻を争うようだ。急いでもらわねば。
ということで急かして呼びつけた渡合と十河を迎えに行ってみれば、予想もしなかった3人目がいた。
「…なんで興本までいるんだ!」
遊園地の入り口まで迎えにきた俺と糸田は思わず互いの顔を見合わせる。
人混みのある中ですぐに渡合を見つけられたのは、他人よりも頭一つ分出ている長身の見知った顔があったからだ。それが興本だった。
そういえば女子は3人だと伝えたところ、十河のほかに誰かもう一人を連れて行くようなことを言っていた。けれど何も興本でなくても良かったのでは、と思ってしまうのは、その顔が恐いからだ。
眉間に皺を寄せて明らかに怒っている。
ただ、俺たちにはぐずぐずしている時間はなかった。
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