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グループ交友 -7-
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久しぶりに会った興本は明らかに不機嫌だった。
遊園地の入り口ゲートの外側で待っていたらしい渡合達3人は既にいろんな女の人に囲まれていたのだけれど(明らかに彼女らのターゲットは興本だ)、俺と糸田に気づくと興本はそのままに渡合と十河の二人はすぐにゲートを通ってこちらへ来てくれた。
「急に悪いな、こんなところまで」
顔を青くしたまま糸田が言う。今となっては女子の視線にやられたのか興本の不機嫌なオーラに充てられたのか定かではない。
「まじで超びっくりしたー! 俺的には女の子紹介してくれんのは嬉しいけど」
状況が分かっているのか分かっていないのか、渡合はニコニコと満面の笑みだ。「ところでその女の子たちは?」ときょろきょろしている。
「場所は教えるから、あとは自分たちで声掛けて。一応井瀬のクラスメイトなんだ」
「え? 間に入ってくれるんじゃないの? どういうこと?」
「あ…えっと…ごめん…。話せば長くなるんだけど…」
どう話したものか、と糸田が頭を掻いていると、十河が呆れた表情で渡合を見た。
「どうせ渡合が先走って理由も聞かずに動いたんだろ。だからちゃんと話を聞けって言ったんだよ」
パシンと軽く頭を叩かれた渡合は、けれどケロッとした様子でいる。
「えー。女の子って聞いて十河も飛びついてきたじゃーん」
「飛びついてはない」
「でも付いてきてんじゃん。一緒一緒」
黙って聞いているといつまでも言い合いが終わらなさそうだ。
「とりあえず詳しい話は歩きながらで良いか?」
時間がかかり過ぎると、焦れた宗田がいつこちらへやって来るかもわからない。そうなれば女子たちも黙っているわけもなく、せっかく来てくれた渡合達も無駄足になることになりかねない。
俺は提案をしつつも興本の方を気にしていると、十河がややあって俺の視線に気付いてくれた。
「そう言えば興本も一緒に来てたんだ。井瀬は興本の相手してくれる?」
十河の言葉にチラ見程度で見ていた視線を、今度は正面から興本の方へと移す。
ばっちりと目が合った瞬間、興本の手が上げられ、クイクイと人差し指だけで呼ばれた。
俺に拒否権はなさそうだ。
「糸田、俺行くわ」
「え!」
興本の視線だけで俺の足は勝手に前へと進んでいく。後ろから俺の名前を呼ぶ糸田の声が聞こえたけれど、振り向くこともできなかった。
興本から視線を外してはいけない気がしたのは、たぶん本能だ。
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