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月曜日 -7-
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思い返せば昨日、興本は俺にシャワーをぶっかけたまま同じように浴槽に入って来ていた。興本も全身を濡らして、そのまま俺は布団にくるまっていたけれど、興本はアパートを一度出ていた。
風邪を引いたのはきっとそれが原因だ。
夜になって母さんが帰って来た時には、興本の体調は本格的に悪くなっていた。
2回も叱られたことを気にしつつ、さすがに俺はむずがる興本を振り解いて抱き枕から脱出した。
「何か食べれる? 母さんにお粥作ってもらうけど」
「…井瀬チャン」
俺を食べるってどういうことだ。
覇気のない声音で冗談を言う興本の頭を撫でて、汗が浮かぶ額を掌で拭った。
本当はタオルで拭いてやるべきなんだけれど。
「ちょっと待ってて」
俺の手を握ったままの興本の指をそっと外して、俺は母さんのいるキッチンへ向かうべく部屋を出た。
興本が俺の部屋で寝込んでいることは、母さんが帰って来てすぐに伝えていた。
「母さん。興本、お粥なら食べれるって」
「もう少し待って。興本くん、水分は取ってる?」
「あ、そう言えばまだ飲ませてない」
「冷蔵庫にポカリあったでしょ。ペットボトルごと持っていきなさい」
「うん」
冷蔵庫の左ドア側にある2リットルのペットボトルと、コップを一つ持ってリビングを出た。
すぐに二階に上がろうかとも思ったけど、一段足を踏んだところで思い直して一度洗面所に寄った。乾いたタオルを一枚棚から引っこ抜き、今度こそ自分の部屋に戻る。
ベッドの脇に座って目を閉じている興本の肩を小さく叩く。
興本は眠っていなかったみたいで、すぐに目を開けてくれた。
「喉乾いてるだろ。ポカリ飲も」
コップに注ぐ俺の手元をぼんやりとした表情で見つめていた興本は、俺がコップを差し出すも手に取ってくれなかった。
「飲ましてよ」
こんな時でも悪戯っ子の様に笑う興本は、こう見えて甘えているんだろうか。
俺がコップを口元に持っていくも、「違うでしょ」と笑って言う。
興本の腕が伸びてきて、その長い指で俺の下顎を撫でられた。なんというか、えろい。
熱を出している興本よりも、たぶん今は俺の耳の方が赤い。
でもこんなふうに甘えている興本が珍しくて、俺は少し手を震わしながら自分の口にポカリを含んだ。
興本に覆い被さるように顔を近づけ、興本の口に自分の口を当てる。
興本が口を開けるのを見てから、口の中のポカリを溢さないように恐る恐る流し込んだ。今までにない程静かな時間が流れる。
「もう一回」
ポカリを飲み干した興本は俺の顔を固定するように両手で挟み、再び口をくっ付けた。
今度は人工水ではなく俺の唾液を吸い取るがごとく舌を絡ませてきた。
相変わらず交わる吐息は熱くて、俺は興本の熱が移ったようにくらくらとした。
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